中途採用におけるダイレクトリクルーティングは、企業が積極的に優秀な人材を見つけ出し、直接アプローチする手法として注目されています。
従来の求人広告だけではなく、自社にマッチした即戦力を確実に採用するためには、より効果的なアプローチが求められます。
本記事では、求人倍率の高まりや採用コストの増加といった背景を踏まえ、中途採用でのダイレクトリクルーティングがいかに企業にとって有益であるか、その具体的なメリットとサービス比較のポイントを探ります。
ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら求職者に直接アプローチし、採用活動を行う手法のことです。
この方法は、従来の求人広告やエージェントを介した採用手法と異なり、企業が積極的にターゲットとなる候補者に接触し、採用に結びつけるのが特徴です。
ダイレクトリクルーティングでは、求職者からのアプローチを待つのではなく、企業自らが、SNSやイベントなどを通して、採用したい人材を探し、アプローチをするため、「攻めの採用」とも言われています。
ダイレクトリクルーティングが注目される背景には、以下3つの要因があります。
それぞれについて詳しく解説します。
求人倍率が増加している現代において、企業は必要な人材を見つけることがますます難しくなっています。優秀な人材が少なく、競争が激化する中で、従来の求人広告やエージェント頼みの採用手法では限界が生じています。
企業が求めるスキルセットや経験を持つ候補者が市場に少ない場合、ダイレクトリクルーティングは、企業が能動的に優秀な人材を探し出し、アプローチできる手段として有効です。
採用活動にかかる費用は、特にエージェントを利用する場合に大きな負担となります。ダイレクトリクルーティングを活用することで、企業は自ら候補者に直接アプローチし、エージェントに支払う手数料を削減することができます。
また、求人広告の費用を抑えつつ、ターゲットに直接リーチできるため、コストパフォーマンスの高い採用活動が可能となります。
IT技術の発展により、企業が候補者をリサーチし、接触するためのツールやプラットフォームが増えました。LinkedInやSNS、専用の採用プラットフォームなどを活用することで、企業はより容易にターゲットとなる候補者にアクセスできるようになっています。
また、プラットフォームはデータ分析を駆使して、企業が求める理想の人材を絞り込む支援も行っています。
ダイレクトリクルーティングにはメリットがある一方で、デメリットもあります。
メリットは以下4つあります。
それぞれについて詳しく解説します。
ダイレクトリクルーティングは、現在求職活動を行っていない「潜在層」の候補者にもアプローチできる点が大きな強みです。
通常の求人広告ではアプローチできない人材に対して、企業から直接メッセージを送ることで、転職を考えていない優秀な人材を引きつけることができます。
ダイレクトリクルーティングでは、企業が求めるスキルや経験を持つ候補者を精密に特定し、的確にアプローチすることができます。これは、企業が候補者のプロファイルを事前に確認し、最適な候補者を選び出して直接連絡を取るためです。
企業と候補者の双方にとって有益なマッチングが実現しやすくなります。
ダイレクトリクルーティングでは、エージェントを介した採用に比べてコストが抑えられることが多いです。企業が自ら候補者を発掘するため、エージェント手数料や大規模な求人広告費がかからず、直接的な採用コストを低減することが可能です。
特に限られた予算内での採用活動を行う場合、この点は大きなメリットとなります。
ダイレクトリクルーティングでは、候補者のスキルセットや経歴を事前に詳細に把握したうえでアプローチするため、採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。企業が必要とするスキルや文化に合致した候補者を選びやすくなることで、入社後の早期退職や不適合といった問題が減少する可能性があります。
デメリットは以下3つあります。
それぞれについて詳しく解説します。
ダイレクトリクルーティングでは、企業が自ら候補者をリサーチし、接触する必要があります。通常の求人広告を出すだけの採用手法とは異なり、個別にアプローチするため、手間がかかります。
具体的には、候補者のプロファイルを一つ一つ確認し、メッセージを送る作業が多く、特に担当者が他の業務も抱えている場合、業務負荷が大幅に増える可能性があります。
ダイレクトリクルーティングは、ターゲットを絞って質の高い人材を採用することに適していますが、一度に多数の人材を短期間で採用するには不向きです。
各候補者に対して個別の対応が求められるため、大量採用が必要な場合、プロセスが煩雑になり、時間と労力がかかりすぎてしまいます。そのため、大規模な採用計画には他の手法と組み合わせることが必要です。
ダイレクトリクルーティングでは、企業が自社で候補者を探すためのツールやプラットフォームを活用しますが、これらのツールには限界があります。
特に、特定のスキルや経験を持つ候補者が少ない場合、企業が必要とする人材データベースが十分に揃わず、適切な候補者を見つけるのが難しくなる可能性があります。
また、新しい市場や業界に進出する場合、その分野での人材データベースが不足していると、効果的なリクルーティングが難しくなることがあります。
ダイレクトリクルーティングを取り入れるべき企業には、以下5つの特徴があります。
それぞれについて詳しく解説します。
ダイレクトリクルーティングでは、候補者のデータを収集し、分析することが重要です。データ分析やリサーチを行うリソースがある企業は、候補者のプロファイルを正確に把握し、適切なアプローチを行うことができます。
また、採用活動を支えるための予算が必要です。広告費用や人件費、ツールのコストなどがかかるため、十分な予算を確保できる企業が取り入れることが多いです。
ダイレクトリクルーティングでは、企業が自ら候補者をリサーチし、アプローチするため、特定の専門知識やスキルを持つ人材をピンポイントでターゲットにすることができます。
例えば、ITエンジニアやデザイナー、データサイエンティストなどの専門職は、通常の求人広告では集まりにくいため、ダイレクトリクルーティングが有効です。
ダイレクトリクルーティングでは、特定のバックグラウンドや経験を持つ候補者にアプローチできるため、多様な人材を効率的に採用することができます。
組織の多様性を高め、イノベーションを促進することが可能です。
競争が激しい業界では、優秀な人材が他社に流れてしまう可能性が高いため、企業は積極的に自らアプローチする必要があります。
ダイレクトリクルーティングを通じて、他の企業よりも早く、ターゲットとなる候補者にアプローチすることで、優れた人材を確保するチャンスが増えます。
新規事業やスタートアップ企業では、限られたリソースで迅速に優秀な人材を確保することが求められます。ダイレクトリクルーティングを活用することで、スピーディに必要な人材にアプローチでき、企業の成長を支える人材を確保することが可能です。
また、新しい企業であれば、自社のビジョンや価値観を直接伝えることが、優秀な人材を引きつける重要な手段となります。
ダイレクトリクルーティングの費用は大まかに、サービス使用料と運用費用に分けられます。サービス使用料はサービスプロバイダーに支払う費用であり、運用費用には自社の人件費などが含まれます。ここでは、サービス使用料についてのみ説明します。
サービス費用は、使用するサービスの種類や料金体系によって大きく異なりますが、大まかに「成果報酬型」と「定額型」の2つのタイプに分けられます。
成果報酬型サービスでは、採用が成功した場合にのみ費用が発生します。一般的に、採用が1件成功すると、その費用は35万円から50万円ほどがかかります。また、初期費用として20万円程度が別途必要なことが一般的です。この初期費用は、サービスの導入やセットアップにかかる費用をカバーします。
この料金体系は、採用成功時にのみ費用を支払うため、コストを採用成果に直結させたい企業に適しています。
採用が成功しなければ費用が発生しないため、予算を無駄にするリスクが低くなります。
また、採用が必要なタイミングに合わせて利用でき、固定費がかからないため、必要なときにだけコストをかけられる点もメリットです。
定額型サービスは、年間契約を結び、一定の費用を支払うことで、サービスを利用します。この場合、年間の利用料金は60万円から150万円程度です。また、初期費用として20万円程度が別途必要なことが一般的です。
定額型の最大のメリットは、採用人数が増えるほど一人あたりの採用単価が低くなる点です。年間契約の料金は固定されているため、契約期間中に多くの人材を採用すればするほど、相対的にコストを抑えることができます。
例えば、年間契約で60万円を支払って5名を採用できれば、一人あたりの採用コストは12万円となり、成果報酬型に比べて大幅に安くなる可能性があります。
つまり、定額型サービスは、大量採用を予定している企業にとって、全体の採用費用を抑えることができます。
また、予算の見通しが立てやすく、計画的に採用活動を進めることができるため、採用活動にかかるリスクを低減することが期待されます。
次に、ダイレクトリクルーティングサービスを比較・選定する際に、注意すべきポイントを5つご紹介いたします。
それぞれについて詳しく解説します。
ダイレクトリクルーティングに使用するプラットフォームやネットワークのアクティブユーザー数は、その効果を大きく左右します。アクティブユーザー数が多いプラットフォームを選ぶことで、より広範囲にリーチでき、多様な候補者にアプローチする機会が増えます。
例えば、LinkedInや専門業界のコミュニティなど、利用者が多いプラットフォームは、多くの候補者に接触できる可能性が高くなります。
ダイレクトリクルーティングの効果を最大限に引き出すためには、自社が求めるスキルや経験を持つ採用ターゲット層がそのプラットフォームやネットワークに存在するかを確認することが重要です。
ターゲット層が明確で、彼らが活発に利用しているチャネルを選定することで、より的確にアプローチでき、採用の成功率が向上します。たとえば、特定の業界専門職を狙っている場合、その分野に特化したプラットフォームを利用することが有効です。
ダイレクトリクルーティングには、プラットフォーム利用料や関連ツールのコストがかかります。そのため、費用が自社の予算に見合っているかどうかを慎重に検討することが必要です。費用対効果を考え、自社にとって適切なコストで運用できるかを確認することで、無駄な支出を避けつつ、効果的な採用活動を行うことができます。
特にコストが高すぎる場合は、他の手法との併用を検討するのも良いでしょう。
ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶ際に、求める機能やサービスが提供されているかを確認することで、自社の採用ニーズに最適なサービスを選ぶことができます。また、機能の充実度だけでなく、操作のしやすさやサポート体制も検討要素に加えましょう。
ダイレクトリクルーティングサービスを比較する際に、企業の評価やレビューを確認することが重要です。実際にそのサービスを利用した企業の評価やレビューは、サービスの信頼性や実際の効果を把握するための貴重な情報源となります。
ポジティブな評価だけでなく、ネガティブなレビューや課題点についても確認することで、自社のニーズに合ったサービスかどうかをより客観的に判断できます。
ここでは、おすすめのダイレクトリクルーティングサービスを9選紹介します!
ダイレクトリクルーティングを行う主な場所として、「人材データベース」、「SNS」、「採用イベント」の3つがあります。それぞれについてご紹介します。
doda Recruitersは、日本最大級約317万人にアプローチできるdodaのスカウト会員データベースサービスです。データベースの規模から、職種やスキル、居住地、年収、資格など多種多様な条件に合った人材を見つけやすいです。
Eight Career Designは、名刺アプリ「Eight」が提供する企業向けの人材データベースサービスです。「Eight」のデータベースを活用した、タレントプールの仕組みを取り入れています。
Greenは、IT/web系人材に強い人材データベースサービスです。
利用者120万人のうち60万人以上がIT/web系人材になります。また、年齢層も比較的若く、25-39歳以下が約70%を占めています。
Wantedlyは、日本に350万人登録ユーザーのいるビジネス向けSNSです。
Wantedlyでは、やりがいや環境といった切り口で求職者とつながりを持つことができるサービスです。
人材データベースを活用したダイレクトリクルーティングとは異なり、転職するつもりがない人(転職潜在層)にも気軽にアプローチすることができます。
■Wantedly運用代行について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
Wantedly運用代行とは?業務や料金、サービス選定ポイントを紹介!
LinkedInは全世界に7億人以上の登録ユーザーを誇り、日本のユーザー数は300万人を超えているSNSです。ビジネスシーンに特化しており、会社ページを作成することで採用情報等を掲載し、ダイレクトメッセージでスカウトを送ることもできます。
Daijob Career Fairは、国内最大級のグローバル人材向け就職・転職イベントです。。インターナショナルなコミュニケーション能力に優れているだけではなく、転職意欲の高い転職希望者と直接アプローチをすることが出来ます。
doda転職フェア/doda転職フェア オンラインは、中途採用市場での日本最大級の合同説明会イベントです。イベント参加者には、転職サイトに登録していないようないわゆる転職潜在層も多く、普段アプローチできない人材と関わりを持つことができます。
※現在は、コロナの影響で対面ではなく、オンラインのみで開催されています。
「typeエンジニア転職フェア」は、過去90回以上の開催実績のある日本最大級のエンジニア特化型転職イベントです。開催は年に4回、1日平均1400名のエンジニア経験者・希望者が来場しています。
「マイナビ転職フェア」は、開催エリア・開催回数・開催規模で業界最大級を誇る合同企業説明会です。説明会の分野も総合職から専門職まで様々なテーマで開催しています。
また、地域に根付いた採用も強く、UIターン転職者、地元民などの人材にもアプローチすることができます。
■新卒ダイレクトリクルーティングサービスについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
新卒ダイレクトリクルーティング媒体7選|有効な背景、成功のコツを解説
ここでは、ダイレクトリクルーティングを活用して採用に成功した企業を3社ご紹介します。
キリンホールディングス株式会社は、ダイレクトリクルーティングを活用して成功を収めた企業の一例です。
キリンホールディングスは、多様化するビジネスニーズに対応するため、特定のスキルセットを持つ優秀な人材を迅速に確保する必要がありました。
従来の採用手法だけでは、適切な人材をタイムリーに見つけ出すのが難しいと感じていたため、ダイレクトリクルーティングを導入しました。
キリンホールディングスは、人材データベースやSNS、採用イベントなどを通じて、ダイレクトリクルーティングを実施しました。特に、SNSを活用して潜在的な候補者にアプローチし、企業の魅力をアピールすることで、より多くの候補者に関心を持ってもらうことに成功しました。
また、人材データベースを活用して、特定のスキルや経験を持つ候補者を効率的に検索し、リーチしました。
ダイレクトリクルーティングの導入により、キリンホールディングスは、従来の採用手法に比べて、短期間でより適した人材を採用することができました。特に、専門的なスキルを持つ候補者の確保が迅速に進み、事業の成長に寄与する人材を効率的に確保することができました。
株式会社ドリコムは、ダイレクトリクルーティングを効果的に活用し、採用課題を解決することに成功した企業です。
同社は「ゲーム事業」と「広告・メディア事業」を中心に、モバイル向けコンテンツの企画・開発を行っており、変化に柔軟に対応できる人材の確保が必要でした。
しかし、従来の人材紹介サービスを利用していた際には、採用要件に合う人材に出会うことが難しく、この点が大きな課題となっていました。
ダイレクトリクルーティングサービスの一つであるWantedlyを利用することにしました。このプラットフォームを活用することで、企業が求めるスキルやカルチャーフィットに合った人材に直接アプローチできる環境が整いました。
ドリコムはWantedlyを約10ヶ月間運用し、その期間に4名のエンジニアを採用することに成功しました。成功の要因として、Wantedlyが提供する自由記述形式の募集作成機能が挙げられます。
この機能を活用することで、他の媒体では表現できなかった会社の魅力や技術力の重視を強調することができ、ドリコムに合った人材を引き寄せることができました。
具体的には、企業文化やプロジェクトの魅力を詳細に伝えることで、技術力だけでなく、企業のビジョンやカルチャーに共感する候補者が集まり、ミスマッチが減少しました。これにより、従来の採用手法では難しかった技術力重視の採用を実現することができたのです。
株式会社オートテクニックジャパンは、四輪・二輪・汎用製品の研究開発・品質保証をサポートするテストプロデュースを行う企業です。
同社は、近年の環境技術やAI・自動運転といったテクノロジー発展によるニーズの急増を受け、採用を強化し始めました。
採用に当たって、
・業務領域からメーカーと比べて知名度が低い
ことが課題として挙げられていました。
転職フェアでは、dodaの担当者からのアドバイスを踏まえて、職種や勤務地を目立たせるブース設計、採用候補者の誘導や魅力の提供を行うことで、予想より多くの人材と関わることが出来ました。
・アプローチ人数:120名以上
・採用人数:エンジニア1名
これらの取り組みにより、ATJは転職フェアを通じて、より多くの潜在的な人材と関わることができました。知名度の低さという課題をクリアし、効果的なブース設計と魅力の発信によって、ターゲットとする技術者層にアプローチできたことが成功の鍵となりました。
※詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ダイレクトリクルーティングは、自社が求める人材に直接アプローチできる強力な手法ですが、これを実施するにはリソースと時間が必要です。そのため、特に本業が忙しい企業では、ダイレクトリクルーティングを始めたいと考えていても、なかなか実行に移せないというケースが少なくありません。
こうした場合、ダイレクトリクルーティングの代行会社を利用することが効果的な解決策となります。代行会社を活用することで、自社のリソースが不足している状況でも、ダイレクトリクルーティングを効率的に進めることが可能です。
代行会社が提供するサービスは、主に以下の7つの項目に分けられます。
代行会社によるダイレクトリクルーティングは、主に人材データベースを活用する手法が一般的です。これにより、企業は膨大な候補者情報にアクセスし、その中から最適な人材をピンポイントで選定することが可能になります。
また、代行会社によっては、面接の代行まで行っている場合もあります。企業は採用活動におけるほぼ全ての工程を外部に委託することができ、自社のリソースを他の重要な業務に集中させることができます。
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いかがでしょうか。中途採用におけるダイレクトリクルーティングは、企業が求める即戦力を直接見つけ出し、効率的かつ効果的にアプローチできる手法としてますます重要性を増しています。求人倍率の増加や採用コストの削減が求められる中で、従来の採用手法に加えてダイレクトリクルーティングを活用することで、よりターゲットを絞った採用活動が可能になります。
ただし、リソースの確保や対象となる候補者の選定には注意が必要です。ダイレクトリクルーティングの成功には、企業側の準備と戦略が不可欠であり、これを活用することで競争力のある採用活動を展開できるでしょう。
最適なダイレクトリクルーティングサイトを見つけるために、ぜひこの記事を参考にしてみてください!