近年の売り手市場、人材不足の状況を鑑みてダイレクトリクルーティングでの採用を開始してみたものの、
「ダイレクトリクルーティングを行っているが、効果があまり出ていないので見直したい。」
「自社にぴったりなダイレクトリクルーティングの媒体を知りたい。」
などと考えている採用担当者様は多いのではないのでしょうか。
本記事では、
・ダイレクトリクルーティングの方法
・新卒採用でダイレクトリクルーティングが注目される背景
・ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット
・成功させるコツ
・おすすめダイレクトリクルーティングサービス7選
について解説していきます。
ダイレクトリクルーティングは、企業の経営陣や人事部門が、求人広告や人材紹介といった第三者の介入を排除し、直接候補者に接触する採用戦略を指します。
この手法は、中途採用の場で一般的に利用されてきましたが、人材の供給が不足し、新卒採用の競争率が増加したことから、新卒採用の場でもダイレクトリクルーティングが注目を集めています。
求人広告や人材紹介を利用しないことで、採用コストを削減できるとともに、企業が必要とする候補者に対して個別にアプローチすることが可能となります。
新卒を採用する場合のダイレクトリクルーティングの方法は大きく2つに分類されます。
・ダイレクトリクルーティングサービス
・OB/OG訪問
最も一般的な手法であり、人材プラットフォームから候補者を選択し、直接接触を行う方法を指します。利用する媒体によって、可視化される情報は異なりますが、求職者の所属大学、学部、キャリア志向などから、必要な人材を探すことが可能です。
OB/OG訪問は、社員が訪問した学生などに対して、特定の候補者に個別にオファーを行う方法を指します。
近年では、インターンシップなどが活発に行われているため、ダイレクトリクルーティングを単独で行う機会は減少しています。しかし、優秀な候補者に対しては、特別選考を提供するなど、ダイレクトリクルーティングに類似した形式が採用されています。
ダイレクトリクルーティングの費用は大まかに、サービス利用費と運用費用に分かれます。サービス利用費はサービス提供会社に支払う費用であり、運用費用は自社の人件費などが含まれます。ここでは、サービス利用費についてのみ解説します。
ダイレクトリクルーティングで発生するサービス利用費は使用方法によっても変化しますが、新卒の採用単価は約40万円と言われています。
成果報酬型のサービスでは、一人の採用費用が35万〜50万円で設定されていることが一般的です。一方、定額型のサービスでは、60万〜150万円で年間契約を行うことが一般的です。また、いずれの料金体系でも初期費用が20万円程度必要になります。
定額型のサービスでは採用人数上限まで取ることで一人あたりの採用単価が下がるため、採用に必要な費用の削減が期待できます。
ダイレクトリクルーティングが新卒採用で注目される背景について解説します。
近年の日本では労働力が不足していると言われていますが、実際には、2018年から2023年はほぼ横ばいで、人口に対する割合も変動がほとんどありません。
引用:「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要」統計局
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/gaiyou.pdf
しかし、都市部への人口の集中やIT業界などの職種に労働者の人気が偏ることで重大な労働力不足を引き起こしています。また、少子高齢化が進むことで、労働人口が減少していく未来も遠くありません。
労働力が不足している企業、業界では以下の問題が発生します。
・従業員が不足し、本業の生産力が低下する
・求職者の奪い合いが激化する
実際、従業員300人未満の企業の最新2025年3月卒の人材の求人倍率は6.50倍となっています。
引用:「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」株式会社リクルート
https://www.works-i.com/surveys/item/240425_recruitment_saiyo_ratio.pdf
そこで、現状より少ない人数で、効率的に現状と同等かそれ以上の仕事を行う必要があるために、企業の採用方針として優秀な人材を採用することが求められます。
優秀な人材を採用するためにも、企業から積極的にアプローチする必要があり、ダイレクトリクルーティングが有効的に働きます。
2018年に経団連は「採用選考に関する指針」という就活のルールに近いものを廃止しました。この理由には、経団連に所属しない企業に先を越されて、優秀な学生を取り逃がしていたことが挙げられます。
経団連が早期採用や通年採用を推進すると、採用活動は「先取り」の性格を強めるでしょう。加えて、学生側が労働市場で優位に立っている現状では、労働環境の良さなどが求められます。
ダイレクトリクルーティングの活用により、他社に先駆けて学生に接触することが可能となります。さらに、自社の魅力を求職者の志向性に合わせて直接訴求することが可能となるため、ダイレクトリクルーティングを活用する企業が増えています。これは、求職者に対する効果的なアピールとなります。
企業における多様性(ダイバーシティ)の推進は、現在のビジネス環境において重要な課題となっています。この文脈において、ダイレクトリクルーティングはその有効性を発揮します。
従来の採用手法では、自社に興味を持つ人材が選考プロセスを経て入社するという流れが一般的でした。しかし、ダイレクトリクルーティングの導入により、自社に対する興味が当初から低かった人材に対してもアプローチが可能となりました。
この新たな手法により、従来の方法では接触することが難しかった人材に対するアプローチが可能となり、新たな価値観や自社にはない視点を持つ多様な学生を採用する機会が生まれます。
ダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットについて解説します。
ダイレクトリクルーティングのメリットには以下が挙げられます。
・パーソナライズした求人で直接アプローチできる
・採用コストの削減につながる
・希望のターゲット人材にアプローチ可能
・採用後のミスマッチを防止できる
近年では、求人広告や人材紹介など求人に関するサービスが溢れています。そのため、求職者一人が1つの求人票に対してかける時間が非常に短くなり、求人の数も増加しました。その中で、従来の採用手法の利用では、自社の求人が他社の求人に埋もれるケースが増加しました。
ダイレクトリクルーティングでは、求職者が求人を探すのではなく、企業から求職者に直接アプローチを行うため、求人を目立たせることが可能です。また、パーソナライズされたメッセージを送信できることで、求職者の志向性に合わせて自社の魅力をアピールすることが可能です。
新卒採用の採用コストは増加傾向にあり、一人当たりの採用費用は100万円前後が一般的とされています。そのため、採用費用が高額になっており、予算の都合で採用したい人数に届かないケースがあるでしょう。
しかし、ダイレクトリクルーティングは先ほど説明した通り、一人当たりの費用をサービス利用費用だけでも50万円以下に抑えることが可能で、トータルの採用費用でも大幅に採用費用を削減することが叶います。
ダイレクトリクルーティングを活用した場合、媒体のサービス利用料が人材紹介サービスと比較して、低額に抑えられます。また、企業文化に適合した人材にアプローチすることで、選考のステップを削減することに繋がります。
ダイレクトリクルーティングサービスを利用することで、
・年齢
・学歴
・勤務条件
・志望動機
・スキル
などの求職者に関する情報が可視化されるため、自社のターゲットの人材を探すことが可能です。
人材が豊富な媒体から人材を選ぶことで、自社で作成した採用ペルソナに非常に近い人材も見つけることができるでしょう。
人材紹介とは異なり、自社にマッチする人材を直接探すことができるため、求職者に対する認識の齟齬が生じず、自社の選考基準を100%適用可能なため、効率的な採用を行うことが可能です。
ダイレクトリクルーティングでは、企業の社風に適合した人材や、企業での活躍が見込まれる人材を対象にメッセージを送るため、ミスマッチが生じる可能性は比較的低いと言えます。
さらに、企業が自社の魅力を直接伝えるカジュアルな面談や、選考時の面談の機会が増えることで、求職者の疑問や不安を解消する機会を設けやすくなるでしょう。
その結果、学生が入社後に抱く職場環境のイメージと実際の職場環境との間のギャップが縮小し、ミスマッチを防ぐことが可能となります。
ダイレクトリクルーティングのデメリットは以下が挙げられます。
・業務負担が増加する
・ノウハウが必要になる
・大量採用には不向き
ダイレクトリクルーティングでは、学生にたいして個別メッセージを作成し、送信するため、業務の負担が増加します。特にパーソナライズする面で、学生のプロフィールを読み込むことやそれに適した文章を作成する部分に工数が必要です。
加えて、従来の求職者が求人に応募する方法では、企業との接点は書類選考や面接で問題ありませんが、ダイレクトリクルーティングを利用する場合の接点はカジュアル面談であるケースが多いです。そのため、面談の時間を設け、自社の企業内容をアピールする必要があります。
その他にも、候補者のリサーチと適切な人材の発見などもあります。メッセージの作成、カジュアル面談の時間が一人一人に発生するため非常に業務負担は増加するでしょう。
ダイレクトリクルーティングではメッセージを作成するため、求職者の目に届くメッセージを作成する必要があります。そのためには様々なノウハウが必要になります。
具体的なノウハウの例として以下が挙げられます。
・学生に響く文章の内容
・ニュアンスの違いによる求職者の反応の違い
・媒体毎の求職者側のメッセージの見え方
このようなノウハウは実際に採用業務を行う、またはダイレクトリクルーティング代行サービスに委託することで身につくものです。そのため、開始当初から結果が確実に出るものではないのが現状です。
ダイレクトリクルーティングでは企業側からパーソナライズしたメッセージを用いてアプローチを行うため、個別対応になってしまいます。求職者とのコミュニケーションは密になりますが、母数を確保することが困難です。
個別対応が可能な人材を用意することが可能であれば、採用人数を増加させることも可能ですが、自社にマッチした人材をリサーチし、採用することは非常に手間がかかるため、大量採用には不向きです。
ダイレクトリクルーティングだけでなく、その他の採用手法も活用して採用を行うことで人数を確保することが叶うでしょう。
ダイレクトリクルーティングを行う際には、媒体の選出が非常に重要です。媒体ごとに使いやすさや人材の傾向が異なるため、自社に会わない媒体を利用した際にはターゲットが非常に少なく費用対効果が悪くなってしまいます。
ここでは、ダイレクトリクルーティングで利用する、自社に適した媒体の選び方について解説します。
ダイレクトリクルーティングの媒体選定において、最も重要な要素は、目標とする人材がその媒体に大量に登録しているかどうかです。
今回新卒採用を行う場合、学生が利用している媒体を選ぶことが必須となります。さらに、企業が求める人材の特性を考慮して媒体を選ぶことも重要です。
例えば、エンジニアの採用を希望する場合、理系学生のスカウトに特化した「Lab Base」のような媒体を利用することが考えられます。
しかし、例外的に成果報酬型のダイレクトリクルーティングサービスは、可能な限り利用することを推奨します。成果報酬型であるため、真に採用したい人材だけを月額料金なしで探すことが可能であり、採用したい人材がいない場合はデータベース使用料を支払う必要がありません。
さらに、サービスによっては大学1年生から登録が可能であり、学生への早期接触が可能です。インターンシップへのオファーなどを1年生に行うことで、早期段階から企業の認知度を拡大することが可能です。このような項目も必要に応じて確認することを推奨します。
サービスにより、スカウトの開封率および返信率は大幅に異なることがあります。したがって、メッセージの作成に時間を投資しても、それが開封されない、または返信されない場合、その労力は無駄になってしまいます。
開封率および返信率が高い媒体を選択することで、面接や面接の選考フローに進む学生の数が増え、業務負担が増える一方で、その効果が発揮されます。したがって、返信率が高い媒体を選択することを推奨します。
ダイレクトリクルーティングを実施する際、メッセージ送信の対象者を精査することが必要となります。そのため、企業が必要とする絞り込み機能が媒体に装備されているかどうかは、重要な判断基準となります。
また、「オファー・スカウトメール配信機能」や「管理機能」など、複数のサービスを比較検討しながら選定することが求められます。
企業が求める管理が容易に行える媒体を活用することで、業務効率を向上させ、業務負担の軽減に寄与します。
ダイレクトリクルーティング自体には工数が必要となるため、ノンコア業務的な要素は効率的に処理することが必要です。
ダイレクトリクルーティングを成功させるためにはノウハウが非常に重要です。しかし、開始直後はノウハウがない中でも以下の4つのポイントに注意してダイレクトリクルーティングを行い、成功させましょう。
・採用課題を明確にする
・専任の担当者を決める
・経営陣、現場社員に協力を仰ぐ
・登録日やログイン日が直近の学生を中心にアプローチする
・自社に適切な料金の媒体を活用する
ダイレクトリクルーティングを実施する前に、採用課題を明確に定義することが必須となります。企業がどのような課題を抱えており、どのような行動を取っているのかを明らかにし、ダイレクトリクルーティングの活用が確実に有効であるかを検討することが求められます。
ダイレクトリクルーティングは業務負担が大きいため、課題が明確でない、またはダイレクトリクルーティングでは解決できない課題が存在する場合、その費用対効果は非常に低くなります。
したがって、採用課題を明確に定義し、採用ターゲットを精査してダイレクトリクルーティングを実施することを推奨します。
ダイレクトリクルーティングは非常に業務負担が大きく、個別のやり取りが必須になるため、人材を固定することを行うと良いでしょう。
連絡の行き違いやメッセージでのやりとりの内容などを面談や面接でも引き継ぐことが可能なため、よりコミュニケーションの質を高めることが可能です。
また、メッセージを送る中でも、反応が良くなる内容のノウハウなどを蓄積することにつながるでしょう。
求職者の惹きつけを行うためにも、自社で活躍している社員の話をメッセージに載せることや、経営陣の方針を反映させることが非常に重要です。
ダイレクトリクルーティングを中心となり実行する社員と経営陣、社員が自社に必要な社員について議論を行うことで、選考フローに一貫性をもたせることが可能となり、ダイレクトリクルーティングで対象とする学生の性質も均一に保つことが可能です。
サービスに登録したばかりの学生や、ログインを行っている学生は就職活動のモチベーションが高く、スカウト返信率が高い傾向にあります。
サービスに登録している期間が長い学生も就職活動で自社に適した会社を見つけられていない可能性が高いため、ダイレクトリクルーティングを行うことで効果が出やすいと考えられます。
自社に適切な料金の媒体を活用しましょう。ダイレクトリクルーティングに充分な予算が取れない状況であれば、成果報酬型のサービスを利用することが良いでしょう。
一方、予算がある程度確保できるが、大きくはない場合は定額制のサービスを利用することで費用を抑えることが可能です。
学生の採用は経験者採用と比較して、求職者の志向が決まっていない傾向があります。高額な費用をかけて獲得した場合であっても、結果的にミスマッチなケースもよくありますので、ミスマッチのリスクも検討して適切な媒体を利用するようにしましょう。
新卒採用で利用できるダイレクトリクルーティングを7つ紹介します。
引用元:https://offerbox.jp/company/
引用元:https://www.wantedly.com/about/list?utm_campaign=aboutroot_header&utm_source=organic
引用元:https://chihounomikata.com/lp/bb/
引用元:https://www.vivivit.com/mediainfo
引用元:https://iroots.jp/html/pr/company/index.html
ダイレクトリクルーティングを活用した採用に課題感を抱えている採用担当者様に向けて、
・ダイレクトリクルーティングの方法
・新卒採用でダイレクトリクルーティングが注目される背景
・ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット
・成功させるコツ
・おすすめダイレクトリクルーティングサービス7選
について解説しました。
本記事が少しでも採用活動の手助けになれば幸いです。