近年、人材不足が深刻化しています。特に中小企業では、大企業のようなネームバリューや福利厚生、柔軟な働き方などの提供が難しく、採用が困難になっているのではないでしょうか。
また、採用のプロセスが適切ではなく、採用の途中で離脱されてしまう、内定を出しても辞退されるなど様々な悩みを抱えていることでしょう。
本記事では、
・中小企業の採用課題
・採用課題に対する解決策
・中小企業による採用成功事例
・採用活動の効率化を支援する採用代行サービス
について解説していきます。
採用活動で苦戦されている中小企業の採用担当者さま必見の内容となっていますので、ぜひご一読ください。
株式会社リクルートの調査によると、従業員300人未満の企業の大卒求人倍率は、2021年3月卒〜2025年3月卒まで上昇し続けており、最新2025年3月卒の人材の求人倍率は6.50倍となっています。
引用:「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」株式会社リクルート
https://www.works-i.com/surveys/item/240425_recruitment_saiyo_ratio.pdf
そのため、大卒者一人を6,7企業で取り合っている状態であり、企業としては採用難の状況が続いています。
また、中途採用の求人倍率は一般的に1.5倍とも言われており、人材確保は中小企業にとって採用は非常に難しい問題になっています。
人手不足により、既に勤務している人材にしわ寄せが起きることで、労働環境の悪化、離職者の増加、企業価値の低下などが起きる可能性があります。
中小企業が直面している採用課題について4つ解説します。
中小企業は、大企業と比較して採用に割り当てられる予算が制限されているため、採用手法の選択肢が限られています。この結果、低コストの人材紹介会社や求人媒体を利用することが多く、適切な採用が行われていない事例が頻繁に見受けられます。
利用可能な予算が少ないことと、採用手法の変更に伴うリスクを負担することが困難であるため、採用戦略を変更することができない状況が続いていると考えられます。
これらの課題を解決するためには、採用予算を効果的に活用し、費用対効果の高い採用手法を見つけ出すことが必要となります。
中小企業は、その知名度により採用活動を展開することが困難であり、求人広告などに予算を割り当てても、他の求人広告に埋もれてしまうことが多く、信頼や興味を得ることができず、応募に至らない事例が頻発しています。
さらに、採用に関する専門知識が不足しているため、求人票の内容やスカウトのメッセージを通じて自社の魅力を十分に伝えることができていない可能性があります。
この結果、採用人数を優先するあまり、目標とする人材とは異なる候補者を採用することになるという問題が生じています。これらの課題を解決するためには、採用戦略の見直しと、効果的な採用手法の導入が求められます。
内定辞退が発生すると、企業は人材の確保が困難となり、採用活動に投じた時間と労力が無益に消費される事態となります。
内定辞退の主な原因としては、以下のような事例が考えられます。
・他の企業からも内定を得ている場合に、その企業を選択し、自社の内定を辞退する
・面接過程などで不安を感じ、結果として内定を辞退する
内定辞退は企業の説明不足や個別の質問への対応不足などが原因となっています。これらの問題を解決するためには、企業側がより詳細な情報提供や個別対応を行うことが求められます。
職場の環境や業務の進行方法など、実際に就業しなければ理解できない事柄が多く存在します。これらは防ぎようのない事象であると言えます。しかしながら、企業が求人活動に多大な時間と費用を投じているにもかかわらず、面接時に求職者からの質問に対して肯定的な回答のみを提供した結果、
・採用された社員と企業との間でニーズの不一致が生じる
・入社後に期待と現実とのギャップを感じてモチベーションが低下し、生産性が低下する
という事態が発生し、採用が成功したにもかかわらず、離職に至る原因となります。
さらに、入社後の教育制度が不十分であることも、新入社員の定着率を低下させる要因となります。
中小企業の採用課題を解決するための方法について解説します。
中小企業は、採用予算が限られているため、費用対効果の高い採用活動を展開する必要があります。
採用の質を向上させるためには、求人情報を採用ターゲットに適切に届け、応募を促すことが必要です。
具体的な施策としては、以下のようなものが考えられます。
・採用ターゲットに適した採用チャネルの活用
・自社の魅力を訴求する求人広告の作成
また、採用の効率を向上させるためには、企業が採用活動で行っていた無駄な工程を省き、採用のリードタイムを短くする施策が重要です。
具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
・面接の回数を減らし、自社の負担を軽減する
・最終面接以外は可能な限りリモートで行う
・採用担当者を設置し、採用活動を一元管理する
・採用ターゲットが多く存在する媒体の活用
・採用業務を採用代行サービスや人材紹介サービスに委託する
採用の質を向上させることは、全体の費用削減に寄与し、採用の効率を向上させることは一人あたりの採用費用の削減に貢献します。加えて、採用リードタイムが短縮されることによる、採用離脱率、内定辞退率の低下に貢献するでしょう。
また、求職者にとっても短期間で充実した採用により、選考過程に対する満足度が上昇するでしょう。
中小企業は、ブランド力や認知度において、大手企業に対して不利な状況にあることが多く、企業の存在だけでなく、その魅力を伝えることが困難であるという問題があります。
また、自社の求人が類似した他の企業の求人情報に埋もれてしまうこともあります。これらの問題を解決するためには、採用ブランディングが重要となります。
採用ブランディングとは、採用活動において自社をブランド化する戦略のことを指します。自社が伝えたいイメージを効果的に伝達するためには、魅力的な求人情報の作成が必要不可欠です。
魅力的な求人情報を作成するためには、以下の要素を考慮することが重要です。
・市場相場に適した待遇
市場価値に見合った給与や福利厚生を提示し、求職者の関心を引きつける
・希望のキャリアを描けるか
求職者が望むキャリアパスや成長機会を提供し、長期的なビジョンを共有する
・具体的な業務内容
曖昧さを排除し、具体的な業務単位で説明し、仕事のイメージを持ちやすくする
・職場の雰囲気
実際のエピソードを交えた、企業の文化の説明や雰囲気を示す
これらの要素を考慮した上で、求人情報を以下のような方法で公開することが重要です。
・求人動画を作成し、自社サイトに掲載
企業の雰囲気や企業情報をを動画で説明し、言葉では表現が難しい部分を訴える
・リアリティのある求人票の掲載
会話ベースや口コミベースなどで文章をアレンジ
・SNS等での会社紹介、求人公開
自社の差別化可能なポイントなどを紹介し、親近感を感じてもらう
採用ブランディングの成功は、企業のファンの獲得や応募者数の増加を促進するだけでなく、社会的イベントを活用した企業の広報活動にも寄与します。新年、バレンタイン、クリスマスなどのイベントに合わせて情報を発信することで、企業の魅力をより広範囲の人々に伝えることが可能となります。
近年では、SNSを通じて社長の裏側を公開することで、社長個人のファンを増やし、それを企業の広報活動に結びつける例が増えてきています。ただし、個人のプライバシーを尊重し、企業のイメージに適した内容を選択することが重要です。
内定辞退の大きな原因は企業の説明不足や個別の質問への対応不足などが挙げられます。そのため、内定者とのコミュニケーションを増加させる必要があるでしょう。
具体的な施策としては、以下が挙げられます。
・内定後のカジュアル面談の機会を設け、不安点や他企業との違いへの疑問を解消してもらう
・オフィス、工場見学なども踏まえて内定者同士での懇親会などを企画する
・希望があれば、内定者としてインターンを行う
応募者が情報不足で入社した場合には、早期離職する可能性もあるため、内定後のコミュニケーションは企業側から積極的に行うようにしましょう。
ミスマッチで早期退職する人材を減らすだけでなく、採用活動を効果的に行うためにも採用戦略の見直しは非常に重要です。
自社の事業計画を元に
・採用する職種
・採用する人数
・採用にかけられる時間
・一人あたりの採用費用
を数値として明確にします。
加えて、これまでの採用状況について
・応募者数
・採用人数
・内定辞退率
・一人あたりの採用費用
・早期離職率
・応募から採用までの時間
についても数値として分析します。
できるだけ数値化を行い、これまで面接で使用したレポート等があれば、まとめるようにしましょう。
現状で分析した結果から、自社の採用課題を明確にします。
・企業のブランド力が弱い
・コストをどこにかけすぎているのか
・内定辞退率が上昇している
などの特に採用の難易度を高めている項目を特定しましょう。
その上で、特定した課題と採用ターゲットを元に、選考基準の作成、ペルソナの作成、採用ブランディング、採用活動などを行います。
■ペルソナの作成について詳しく知りたい方は下記の記事をご参照ください
採用ペルソナの作り方とは?項目や作成のコツ、フレームワークを解説
https://uloqo.net/blog/persona/
採用戦略に基づいて、採用活動を行うことが必要です。応募者数が極端に少ない場合には即座に修正が必要ですが、ある程度結果が出るまでは、採用手法は大きく変化させないようにしましょう。
採用活動の結果が出てきた後に、採用戦略の効果が出ている部分を評価し、より適切な採用戦略を練る必要があります。
中小企業が採用を成功させた事例について解説します。
アサヤ株式会社は宮城県気仙沼市で、漁業資材や漁場調査などを主力事業とした、総従業員数83名の会社です。
この企業の採用課題は、社長自らが採用活動を行っていたことによる、応募者対応のリードタイムと母集団形成にありました。
そこで、採用担当者を設置し、採用代行を活用した人事コンサルティングをもとに、採用プロセスを抜本的に変化させました。
具体的な施策は、
・求人の掲載媒体の精査、募集記事の適正化
・採用担当者からのダイレクトリクルーティング
・SNS等を活用した広報の整備
・一次面接の担当者を現場責任者に変更
・カジュアル面談の導入
など、大きく採用プロセスを変化させました。
その結果、経営理念の整理と発信が求職者に適切に届くようになり、入社後に求められる姿勢や、自分が持つ強みを活かせる機会が明確化され、年間12名の採用に繋がりました。
引用元:「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001230639.pdf
西表島交通株式会社は、沖縄県で貸切観光バスやレンタカー事業を行う、総従業員数43名の会社です。
この企業の採用課題は、県外出身者の移住前のイメージと実情のミスマッチ、高齢者の体力面での不安による離職でした。
求職者のニーズに沿った働き方が可能な労働環境の整備、県外出身者とのミスマッチを防止するためのターゲット人材に適した求人ページの作成、資格取得支援制度の導入、などを行いました。
具体的には、「経営方針や離島の地域特性について、SNS等で高頻度で発信」や「県の補助金等を活用し、業務のデジタル化を推進」を行いました。
結果的に勤務形態に魅力を感じた多様な人材が集まり、県外出身者も業務内容への理解などが進んだことで、定着率が向上し、離職を防ぐことができました。加えて、社員の資格取得が進みマルチタスクによる円滑な業務遂行が可能になり、資格取得希望者の応募も増加しました。
引用元:「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001230639.pdf
採用を行っている企業のみで、採用活動を見直し、改善していくことは非常に困難です。そこで、活用すべきなのが、「採用代行サービス」です。
ここでは
・採用代行サービスとは?
・採用代行サービスの業務範囲
について解説します。
採用代行はRPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれ、企業の採用に関するニーズに応じて、採用業務の代行/支援サービスを行う人材サービスを指します。
採用代行サービスを行う企業は採用業務を委託され、企業が求める人材の採用を成功へと導くために、採用戦略の策定から、応募者対応、内定者のフォローまで、採用活動のサポートを行います。
中小企業で採用に課題があり、
・費用対効果を向上させたい
・採用業務に割り当てる時間を削減し、本業に従事したい
・応募者対応などのリードタイムを削減したい
・応募者数を増やしたい
などと考えられている企業は、採用代行サービスを利用することで、採用の効率と効果を高めることができるでしょう。
採用代行に依頼可能な主な業務内容は以下の通りです。
・採用計画の策定
・母集団形成
・応募者管理
・書類選考
・選考日程調節
・説明会の実施
・面接代行
・内定後のフォロー
採用戦略を策定する、見直すなどのコンサルティング業務から、内定後のフォローまで企業の悩みや課題に合わせた業務を提供します。
採用の方針や合否の決定に関わる業務をコア業務、面接の日程調整や応募者の管理をノンコア業務と呼びます。
採用代行の料金体系は主に月額制と従量課金制に区分されます。ノンコア業務は委託する工数が少ないため、月額10万円程度から利用可能です。一方、コア業務の業務委託では、工数が増える傾向があるため、月額30万円程度からの利用が一般的です。
月額や従量課金でコストが必要ですが、採用活動全体で応募者数の増加や採用活動の効率化、ミスマッチの低減を考慮した際にはトータルコストが抑えられるでしょう。
中小企業が採用代行を利用することで、採用に関して抱えている悩みの解消に役立ちます。そこで採用代行サービスを利用して生まれる以下のメリット4つを解説します。
・予算に合わせて、採用をアシストしてくれる
・適切な媒体で、効果的な求人が出せる
・採用戦略を見直すサポートが受けられる
・内定後のフォローを委託できる
採用代行は企業の予算規模に応じて、適切な採用戦略を提案してくれます。採用代行に支払う料金を抑えるために、ノンコア業務の委託を行えるのみならず、コア業務を委託した際にも、費用を抑えられるような採用手法の提案や媒体の活用を行ってくれます。
資料請求や問い合わせを行うことで、事前にある程度相談ができるため、採用代行サービスを比較検討し、自社の予算に適したサービスを利用することが可能です。
注意点としては、最短契約期間や初期費用が必要なサービスもありますので注意が必要です。
「大企業の知名度に対抗できない」ため、選考に参加する候補者の母集団が集まらないという問題を抱えている中小企業は多いと考えられます。
このような状況に対処するために、採用代行サービスを利用し、採用戦略の設計を行うことが有効です。具体的には、企業のターゲットに適した求人媒体への登録や、明確なターゲットに基づいた求人の作成・掲載を通じて、応募者数の増加を目指すことが可能です。
さらに、ダイレクトリクルーティングを利用することで、自社に最適な人材に対するスカウトメールの作成や、適切な時間帯・頻度でのメール送付を委託することにより、企業側から積極的に人材にアプローチを行い、応募者を増やすことができます。
採用代行サービスは、採用に関する専門的な知識と経験を有しており、業界の採用トレンドや中小企業の採用に対する効果的な戦略に精通しています。
候補者の選別、面接プロセス、効果的な評価方法についての経験も有しているため、企業自身が採用に関するノウハウを持っていない場合でも、採用戦略の改善に貢献できます。
さらに、代行サービスは広範なリソースとネットワークを持っているため、候補者の母集団を拡大し、優秀な候補者をより広範囲にわたり、効率的に探すことが可能です。
企業自身の努力による採用の質の向上よりも、採用代行サービスを利用することで、採用業務の質を効率的に向上させることが可能です。その結果、採用業務の質が向上することで、現在の企業運営だけでなく、将来の企業運営の選択肢を増やすことにつながるでしょう。
中小企業では、人員の不足から内定を出すまでに時間を要し、その結果、内定後のフォローアップが十分に行われない傾向があります。これが原因で、内定者の辞退を出してしまっているケースも多いのではないでしょうか。
採用代行会社は、内定者へのフォローアップも提供しています。これには、歓迎メッセージの送信、重要な情報(入社日、オリエンテーションの日程、契約条件、給与パッケージの詳細など)の提供、文書関連の手続きなどが含まれます。
採用代行会社を利用することで、企業と内定者とのコミュニケーションが途切れることなく、内定辞退を防ぐことが可能となります。
本記事では、中小企業の採用課題から、解決策、採用代行サービスを利用するメリットまで解説しました。
採用代行サービスには低額から利用可能なものもありますので、ぜひ資料請求やお問い合わせだけでも行ってみることをおすすめします。
この記事が中小企業の採用担当者様の一助となれば幸いです。