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2024-07-12

中途採用とは?新卒採用との違い、メリット・デメリットなど徹底解説

(株)uloqo 代表取締役 関川 懸介

この記事の監修者:(株)uloqo 代表取締役 関川 懸介

近年、職務経験のある人材を対象とした中途採用に注力する企業が増加しており、導入を検討している採用担当者様もいらっしゃると思います。
一方で、

・新卒採用との違いがわからない
・選考フローを正しく把握できていない
・成功させるためのポイントがわからない

など、お困りの方も多いと思います。本記事では「そもそも中途採用とは何か」「新卒採用の違い」「中途採用の流れ」など、詳しく解説します。

 

中途採用とは

中途採用とは、既に職務経験のある人材を企業が採用することを指します。新卒採用以外の全ての採用活動が中途採用に該当し、職務経歴や年齢層に関係なく対象となります。

対象となる求職者の範囲は、主に以下の3つの層に分類されます。

若手人材 :第二新卒(大学卒業後3年以内)や社会人経験3~5年
即戦力人材:社会人経験5~10年
管理職人材:社会人経験10年以上

 

また、中途採用は「経験者採用」とも呼ばれています。経団連は2022年11月7日、定例記者会見のなかで、従来使われてきた中途採用という言葉を「経験者採用」へ改める方針であると明らかにしました。

「中途」というワードに対し、ややネガティブな印象を抱くケースがあることから、経団連は「経験者採用」という言葉を使うよう企業へ促しています。

中途採用を行う目的

中途採用を行う目的として、以下の5つが挙げられます。

・退職者の補充
・新卒採用での人員不足の補完
・事業拡大に伴う人員増強
・新しいノウハウや知見の導入
・即戦力の補填

短期的な経営課題を解決するために、中途採用が行われるケースが多いといえます。

中途採用の現状

株式会社マイナビが実施した、「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」をもとに、中途採用の現状について見ていきましょう。

2023年の平均中途採用人数は、年間平均21.8人で過去最高値となっています。

一方で、退職者数も前年比3人増となり人材の流動性が高まっていることが伺えます。退職者数に対する採用人数の割合である欠員充足率が139.2%であり、中途採用を行うことで欠員の充足ができていることがわかります。

 

 

採用費用についても見ていきましょう。「IT・通信・インターネット」や「メーカー」、「金融・保険・コンサルティング」などの業種は、採用人数が多く、採用費用が高いことがわかります。

参照:株式会社マイナビ『中途採用状況調査2024年版(2023年実績)』https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/03/tyutosaiyoujyoukyoutyousa2024-03-1-1.pdf

新卒・キャリア採用との違い

ここでは、新卒・キャリア採用との違いから、中途採用の具体的な特徴について見ていきます。

新卒採用との違い

新卒採用とは、高校や大学を卒業見込みの学生で、正社員としての就業経験がない人を対象とした採用活動です。通常、卒業後の4月に入社することを前提に募集と選考が行われます。

新卒採用の目的は、企業が長期的に事業を安定して継続するための人員バランスの維持、組織の活性化、リーダー候補の獲得などにあります。そのため、中長期的な計画に基づいた採用活動が行われ、一定期間の育成を見据えて取り組むのが一般的です。

自社での育成を前提としているため、選考基準も現時点でのビジネススキルより、人柄やポテンシャルが重視されます。一方で、中途採用は短期的なビジョンに基づき、すぐに活躍できるかどうかが重要視されます。

キャリア採用との違い

キャリア採用とは、中途採用の中でも特に経験や知識を重視し、即戦力となる人材を採用することです。未経験者も対象に含む点で中途採用と異なります。

キャリア採用は、高い専門性が求められる業種や部門で多く用いられる傾向があります。一方、中途採用は、専門性がそれほど重視されない部門で使われることが一般的です。

中途採用が注目される3つの要因

従来、多くの企業は新卒者を対象とした一括採用を行っていましたが、現在では企業の規模を問わず、中途採用を重要な人材獲得戦略として位置づける企業が増えています。その要因として以下の3つが挙げられます。

・ビジネス環境
・労働者の就労意識
・多様性の重要視

ビジネス環境

グローバル化に伴い、企業を取り巻く競争環境は一層厳しくなっています。このような環境下で企業が成長を続けるためには、環境変化への迅速な対応が求められます。

しかし、専門性を持つ人材を育成するには時間とコストがかかります。このため、即戦力として活躍できる人材を迅速に確保するために、中途採用が重要視されるようになりました。

労働者の就労意識

終身雇用が一般的だった時代から、現在は転職が一般的とされる世の中になり、労働者の就労意識にも変化が見られます。転職はやりがいやキャリアアップ、ワーク・ライフ・バランスを求めるための前向きなステップと捉えられています。

そのため、中途採用市場には優秀で前向きな人材が多く存在しており、企業にとって魅力的な人材を獲得する大きな機会となっています。

多様性の重要視

現代においては、ダイバーシティ(多様性)が重要視され、多様なバックグラウンドや経験を持つ人材を組織に取り入れることが注目されています。

国籍、年齢、性別、障害の有無などに関係なく、多様な価値観を持つ人材を受け入れることで、企業価値の向上やイノベーションの創造につなげることができます。企業は、多様な人材が活躍できる環境づくりを行い、受け入れ体制を整える必要があります。

中途採用のニーズが高まっている要因には、このような多様な人材を求める経営戦略の移行も影響しているといえます。

中途採用の6つのメリット

中途採用を実施する上でのメリットについて見ていきましょう。以下の6つが挙げられます。

・即戦力を獲得できる
・新しいノウハウや知見を吸収できる
・教育コストが削減できる
・通年採用が可能である
・企業ブランディングにつながる
・組織の活性化を目指せる

即戦力を獲得できる

中途採用では、既に社会人経験を持つ人材を採用できます。選考段階で応募者の経歴やスキルを総合的に判断することで、入社初日から即戦力として働いてもらうことが可能です。

企業によっては、募集から内定までを数週間で終わらせることもできます。人材不足が切迫している場合、即戦力を補充できる中途採用は非常に効果的です。

新しいノウハウや知見を吸収できる

中途採用で獲得できる人材は、自社以外のノウハウを持っています。その知識や技術を活用することで、自社にない視点を取り入れることができ、自社が抱える課題を解決できる可能性があります。

また、異なる業界から採用された人材は、自社にない視点を持っているため、新しい発見やイノベーションを生むことも期待できます。中途社員をまったく採用しない企業は、閉鎖的な考え方が浸透し、成長が停滞するリスクがあります。

教育コストが削減できる

新卒社員は社会経験がないため、ビジネスマナーや業務の基本を学ぶための研修が必要です。しかし、中途採用の社員はすでに社会で働いた経験があるため、基礎的な研修が不要となります。

特に同業種での経験がある場合、他の研修も省略できるでしょう。研修を省くことで担当者の負担が軽減され、コスト削減にもつながります。

通年採用が可能である

中途採用は、新卒採用のように入社時期が特定の期間に限定されず、通年採用が可能です。自社の都合に応じて、年度中でも不定期に実施できるため、柔軟な人員補充が可能です。

さらに、選考から入社までの間隔が短いため、急な人材確保にも対応しやすいことも大きなメリットです。

企業ブランディングにつながる

中途採用に力を入れることは、企業のブランディング向上にも繋がります。転職希望者の中には、現在の職場に不満はないものの、良い条件があれば転職を考える潜在層もいます。

中途採用を積極的に行う企業は、こうした潜在層に対しても前向きな印象を与えられます。戦略的に採用活動を発信し、幅広く認知されることで、より優秀な人材を獲得するチャンスが広がります。

組織の活性化を目指せる

中途採用で入社した従業員は、生え抜きの従業員とは異なる価値観を持っているため、組織の活性化に繋がります。自社にはない考え方や視点を持つ人材が増えることで、既存の方法や慣習にとらわれず、柔軟にイノベーションを生み出す環境が構築されます。

また、国籍や年齢などに関係なく多様な人材を採用しやすい点も中途採用のメリットです。

中途採用のデメリット

中途採用を実施する上でのデメリットについて見ていきましょう。以下の3つが挙げられます。

・早期転職の可能性がある
・若手の成長や昇進が遅れる可能性がある
・大量採用には向いていない

早期転職の可能性がある

中途採用の従業員は、新卒者と比べて前職での働き方や価値観に馴染んでいることが多いため、柔軟に自社の風土を吸収しやすい新卒者とは異なり、ミスマッチが起き、早期転職する可能性があります。

転職を経験して自社に来ているため、中途採用の人材は転職に対する心理的なハードルが低い傾向があります。自分のやりたいことを追求する姿勢が強かったり、新卒社員と比べて自社への愛着が薄い傾向もあります。そのため、価値観のミスマッチが離職に繋がるリスクが高くなります。

若手の成長や昇進が遅れる可能性がある

中途採用を増やしすぎると、自社の若手を登用する機会が減り、成長や昇進が遅れる可能性があります。若い従業員が多く在籍している場合、上位の役職で中途採用を行うと、昇進するポストが埋り若手が昇進できないケースがあります。

これにより、社内の人材が育たないだけでなく、組織内での不要な摩擦が生じることもあります。中途採用を行う際は、既存の人員の年齢構成やキャリアプランを考慮して慎重に判断することが大切です。

大量採用には向いていない

新卒採用とは異なり、中途採用は経験やスキルを踏まえてピンポイントで行うのが一般的です。したがって、大量一括採用には適していません。

また、人材紹介サービスなどを利用する場合、一人当たりの採用コストが高くなることもデメリットです。こうした理由から、中途採用では新卒採用と比べて、少数精鋭への絞り込みが非常に重要となります。

中途採用の流れ

実際の中途採用の流れはどのように進めるのか、各フローの特徴とともにご説明します。

1.採用計画の立案
2.採用手法の選定
3.母集団形成
4.選考
5.内定通知
6.入社前フォロー

STEP1.採用計画の立案

募集する人材や人数、採用期限、各工程の日数、コストなどを検討し、採用計画を立てます。採用計画は、入社してほしい期限から逆算して選考期間や募集開始日を設定すると良いでしょう。

過去の自社実績を参考にし、募集人材が配属される部署の意見を取り入れて、採用目標や必要な経験・スキルを決定します。

STEP2. 採用手法の選定

採用計画が決まったら、人材を採用する手法を選定します。主な採用手法は以下の通りです。

・転職サイト
・ハローワーク
・自社ホームページ
・人材派遣
・転職フェア
・SNS

媒体によってターゲット層が異なるため、予めユーザー層のリサーチを行ったうえで利用を決めましょう。

また、いくつかの募集媒体を併用する場合は、媒体の特徴に合わせて原稿をアレンジすることで、より効果を高められます。

STEP3. 母集団形成

採用手法が決まったら、母集団形成を目指します。求人票に採用要件や企業情報をまとめ、選定した手法に従って募集を行います。採用手法によって集められる候補者の質が変わるため、計画に沿った方法で進めることが重要です。

STEP4. 選考

選考では、一般的に「書類選考・筆記試験→面接」の流れになります。いきなり選考ではなく、応募へのハードルを下げるためにカジュアル面談を追加することが有効です。また、経験をほとんど問わないケースでは、会社説明会の開催も視野に入れましょう。

選考においては、候補者とのやり取りや面接の日程調整、面接の事前準備など、多くの業務が発生します。迅速な選考が求められるため、オンライン面接を取り入れたり、評価基準を統一して合否の決断を早める工夫が必要です。

STEP5. 内定通知

選考を終え、合格した候補者に内定通知書を送付します。内定承諾後、入社までの期間が長い場合、候補者の気持ちや環境に変化が生じる可能性があるため、入社前のフォローが重要です。

STEP6. 入社前フォロー

内定者がスムーズに入社できるよう、必要な情報提供やコミュニケーションを行います。フォローアップを丁寧に行うことで、内定辞退のリスクを減らし、候補者の入社意欲を維持できます。

中途採用を成功させる6つのポイント

中途採用を成功させるポイントには、以下の6つがあります。

・採用基準を明確にする
・スピーディな対応を心がける
・積極的に情報発信を行う
・社内体制を整える
・PDCAを回す
・採用代行を活用する

それぞれについて詳しく解説します。

採用基準を明確にする

新卒者とは異なり、中途採用者の経験や経歴、スキルは多様であるため、採用基準が人によって曖昧になることが多いです。そのため、まず「採用したい人材像」を具体的に設定し、それに基づいて採用活動を進めることが重要です。

具体的には、「経験◯年以上で△△の資格を持っている人」など、詳細に設定することが大切です。こうすることでターゲットを絞り込み、明確な採用基準を持つことができるため、本当に必要とする人材を獲得することができます。

迅速な対応を心がける

転職活動中も求職者は、無収入期間が発生する可能性があり、早急に結果を求める傾向があります。複数の企業に同時に応募しているケースも多く、対応が遅れると他社に人材を取られるリスクがあります。

スピーディーでこまめな対応を心がけ、獲得したい人材を逃さないようにしましょう。

積極的に情報発信を行う

中途採用の成功させている企業は、あらゆる手段を講じて求職者に訴求しています。転職者の多くはインターネットで詳細な企業情報を調べるため、充実した情報発信が行われている他社と競合した際に不利になってしまうでしょう。

また、ポジティブな面だけでなく、ネガティブな面も誠実に伝えることで、採用後のミスマッチを防ぐことができます。

社内体制を整える

採用活動を行う際には、各部署との連携を強化し社内体制を整えることが必要です。しかし、通常の業務を複数抱えながら、同時に採用活動を行うのは簡単なことではありません。そのため、可能であれば採用に関する専門部署を設けるとよいでしょう。

専門部署を設けることで、部署内のコンフリクトを上手く調整することができます。また、専門部署は採用の窓口的な役割を果たすほか、前述の通り他部署との協力関係を構築する橋渡し役にもなります。

PDCAを回す

自社の採用課題を明確にし、採用計画を立て、それに基づいて実行し、改善して次に活かすというPDCAサイクルを継続的に回すことが重要です。

また、採用プロセスの各ステップで発生する課題を定期的に振り返り、改善策を導入してアップデートすることが大切です。求人票が自社の求めるスキルや経験を適切に反映しているか確認し、必要に応じて修正します。これにより、より質の高い採用活動が実現できます。

採用代行を活用する

社内で採用がうまくいかない場合は、採用代行サービスを利用するのも一つの手です。プロの知見を活用することで、採用業務の質を向上させることができます。代行業務を依頼することで、人事のリソースをコア業務に集中させることも可能です。

これらのポイントを実践することで、中途採用の成功確率を高め、自社の採用活動をより効果的に進めることができるでしょう。

中途採用の成功事例3選

最後に、中途採用をうまく進めている企業事例を3つご紹介します。

・三井化学株式会社
・ソフィアメディ株式会社
・GMOペパボ株式会社

三井化学株式会社

三井化学は、総合職とオペレーター職の2つの職種で中途採用を実施しており、これらの職種については通年で募集を行っています。2010年代後半から中途採用に力を入れ始め、多い年では新卒採用と同程度の人数を採用しています。2019年には新卒105名に対して40名の中途採用を行っています。

また、中途入社者の活躍を示すために、従業員のインタビューを行っています。中途入社者とその上司の対談形式のインタビューを掲載し、上司からの期待や転職当時の印象を語ることで、よりリアリティが感じられるようになっています。

特設サイトでは、入社後研修の内容や同期とのネットワーキングの様子を写真付きで紹介し、転職者の応募の障壁となりうる不安を取り除いています。

ソフィアメディ株式会社

ソフィアメディは2018年の企業再編に伴い、採用を強化し社員数が倍増しました。2019年度には200名弱、2020年度には250名程度が入社しています。採用は中途採用が基本で、新卒採用はバックオフィスの数名のみです。

「生きるを看る」という理念に基づき、人材の採用と育成を行っています。理念を具体化し、共感する人材を引き寄せるために、採用ページでエッセイ的に表現しています。また、充実した研修・キャリアページを用意し、段階ごとの研修内容や従業員のコメント、研修風景の写真を掲載しています。

また、理念と制度を従業員目線で徹底的に作り上げ、それを採用ページで適切に伝えることで求職者を引きつけています。これにより離職率も大幅に低下し、採用の確度も高まっています

GMOペパボ株式会社

GMOペパボは、2020年には新卒16名、中途53名を採用し、事業拡大に伴い採用数を増やしています。特にカスタマーサービスやエンジニアの採用を強化しています。

企業文化とのマッチングを重視し、「みんなと仲良くすること」「ファンを増やすこと」「アウトプット」という3つの理念を掲げています。これにより、働きやすさや働きがいを感じてもらうことを目指しています。

ウェブサイトやブログを活用して情報を発信し、求職者が面接時に詳細な質問ができるようにしています。これにより、面接の時間がより有意義になり、企業文化にマッチした人材の採用が進んでいます。

HRブログやテックブログを通じて、社内の雰囲気や具体的な仕事内容、技術情報を発信しています。特にテックブログは、エンジニアの技術力や仕事の内容を求職者に伝える重要な役割を果たしています。また、更新は各個人が担当するため、作成のコストを分散することで更新頻度の高さにもつなげています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、中途採用について、その概要やメリットデメリット、選考フローなどをご紹介しました。

中途採用のメリット・デメリットをきちんと把握したうえで、自社の採用戦略にどのように活かしていけるのか、じっくりと検討してみましょう。

 

 

 

(株)uloqo 代表取締役 関川 懸介
この記事の監修者:(株)uloqo 代表取締役 関川 懸介

2016年4月、(株)uloqoを設立。
代表取締役として各領域を管掌。現在も大規模案件のディレクターとして、採用・エンジニア採用・人事評価制度策定支援等に従事。
累計300社以上の支援実績を誇る。大手新聞社やテスト支援会社、フリマアプリ企業をはじめとしたエンタープライズ企業に対する支援実績が中心。採用企画・スカウト・採用広報・組織開発全般・デジタル人材全般に強みを持つ。

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