最近、多くの企業でデザイナーの需要が急増しており、その結果、デザイナーの採用競争が一層激化しています。
デザイナー採用に取り組む担当者の方、デザイナー採用を検討している方の中には、
・自社に最適なデザイナー採用手法は?
・応募者のスキルの見極め方は?
・デザイナー採用のメリット・デメリットは?
といった疑問を抱えている方も多いでしょう。
そこで、今回はデザイナーの採用手法やメリット・デメリット、デザイナー採用に特化した媒体などをご紹介します。
デザイナー採用の現状について、2つの視点から説明します。
デザインの需要が急速に広がっている一方で、デザイナーの数はまだその需要に追いついていない現状があります。公益財団法人日本デザイン振興会の「デザイン白書2024」によると、2005年から2015年の10年間でデザイナーの数は3万人増えており、2020年では20万人を超えていることが読み取れます。
また、総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約,概要,統計表等」によれば、2020年時点の就業者数は約6676万人で、単純計算だと、デザイナーの割合は約0.3%しかいないことが分かります。
出典:)「デザイン白書2024|公益財団法人日本デザイン振興会」
かつてのデザイナーの仕事は、主に紙媒体でのデザインやイラスト、つまり目に見える部分を作ることが中心でした。たとえば、広告、ポスター、雑誌のレイアウト、パンフレット、ロゴデザインといった、視覚的な要素に焦点を当てたデザインが主な仕事でした。
しかし、最近ではデザイナーに求められる役割が多様化しています。理由は、デザインの領域が広がり、企業や製品の成功においてデザインが重要な要素となっているためです。
デジタル製品の普及に伴い、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)のデザインが重要視されるようになりました。これには、使いやすさだけでなく、ユーザーの感情や体験を考慮した設計が求められます。
さらに、デジタルデザインにおいては、HTML、CSS、JavaScriptなどの基礎的なコーディングスキルが求められることが増えています。
デザインは、多くの専門分野と連携して行われることが増えています。デザイナーは、マーケティング、開発、セールスなどのチームワーク力も求められます。
以下のように、現代のデザイナーには従来よりも多くのスキルと柔軟性が求められるようになっています。そのため、デザイン業務はますます複雑で多面的になってきており、デザイナーが担う役割も広がり続けています。
デザイナー採用が難しいと言われる理由は4つあります。
・採用の競争率が高い
・経験豊富な人材が不足している
・従来の採用方法が効果を失いつつある
・フリーランスを選択する人が増えている
それぞれについて詳しく解説します。
先ほど述べたように、デザイナー需要が増加しています。デザインがビジネスにおいてますます重要視されるようになり、多くの企業が優れたデザイナーを求めています。そのため、デザイナーのポジションに対する競争が非常に激しくなっており、企業は優秀な人材を確保するために他社と争わなければならない状況にあります。
デザインの分野は急速に進化しており、新しいツールや技術が次々と登場しています。このため、最新のスキルを持った経験豊富なデザイナーが非常に貴重な存在となっています。しかし、これらの新しい技術に精通し、実務で使いこなせる人材はまだ少数であり、企業はこのような人材を見つけるのに苦労しています。
デザイナーはソーシャルメディアや専門コミュニティで活動しており、従来の求人広告やリクルートエージェンシーに頼る採用方法では、彼らを十分にターゲットできないことがあります。企業は求職者にリーチできず、結果として採用が難航することになります。
フルタイムで企業に雇用されるよりも、フリーランスとして独立することを選ぶ人が増えています。
多くのデザイナーは、フリーランスとして働くことでプロジェクトを自由に選び、自分のペースで働けることに魅力を感じています。フリーランスとしての働き方は、場所や時間に縛られずに働ける柔軟性があり、また複数のプロジェクトに関与できるため、スキルの幅を広げる機会にもなります。
さらに、フリーランスは成功すれば企業での給与を上回る収入を得ることが可能であり、また自分自身で料金を設定できるため、経済的な面でも魅力があります。そのため、フリーランスの道を選ぶデザイナーが増え、企業は常勤のデザイナーを確保するのが難しくなっています。
これらの理由が組み合わさることで、デザイナーの採用がますます難しくなっています。企業が優れたデザイナーを確保するためには、新しい採用方法の導入や、働き方に対する柔軟な対応が求められています。
次に、新卒でデザイナーを採用する際のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリットは以下2つあります。
・低コストでの採用が可能
・将来的なリーダー候補としての育成が可能
それぞれについて詳しく解説します。
新卒のデザイナーは、一般的に経験豊富な中途採用者に比べて給与が低めに設定されることが多く、初期の人件費を抑えることができます。また、経験を積む過程でスキルアップを図りながら成長していくため、教育投資によるリターンが期待できます。
また、新卒を採用することで、企業は自社の基準に沿ったスキルや知識を持つデザイナーを育成することができ、外部から高額なスキルを持つ人材を採用する必要が少なくなります。これにより、長期的にはコスト効果が得られる可能性があります。
新卒デザイナーは、キャリアのスタート地点であるため、企業にとっては長期的な人材育成が可能です。企業は新卒を自社のニーズに合わせて教育し、長期にわたって貢献する人材として育てることができるため、将来的なリーダー候補としての育成も視野に入れることができます。
新卒採用における大きなデメリットは育成に時間やコストがかかることです。特に新卒入社者の場合、社会人経験がないため、基本的なビジネスマナーや業務の進め方を一から教える必要があることが多く、これが企業にとっての負担となり得ます。
次に、中途でデザイナーを採用する際のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリットは以下3つあります。
・即戦力として活躍が期待できる
・育成コストが削減できる
・外部ネットワークを活用できる
それぞれについて詳しく解説します。
中途採用のデザイナーは、すでに他の企業やプロジェクトで実務経験を積んでいるため、即戦力として活躍できる点が大きなメリットです。特に、専門性の高いスキルや特定のデザインツールに精通している場合、企業のニーズに直結する仕事をすぐにこなすことが可能です。
中途採用者は、既に業界での経験を持っているため、企業内でのトレーニングにかかるコストや時間を大幅に削減することができます。基本的なビジネスマナーやデザインプロセスに関する教育はほとんど不要であり、新しい環境に適応するための最低限の指導のみで済むことが多いです。
中途採用者は、前職で築いた業界内のネットワークを持っていることが多く、このネットワークを新しい職場で活用することができます。そのため、プロジェクトの成功に必要なリソースやコネクションを迅速に確保できる可能性があります。
中途採用のデザイナーは、前職での文化や働き方に慣れているため、新しい企業の文化に適応するのに時間がかかることがあります。異なる文化や価値観に適応する過程で摩擦が生じることもあり、チームとの調和を取るための努力が必要です。
デザイナーのスキルを見極める方法は主に4つあります。
・ポートフォリオの提出をお願いする
・社内のデザイナーに協力してもらう
・コミュニケーション能力を確認する
・インターンシップを実施する
それぞれについて詳しく解説します。
まず一つ目は、提出してもらったポートフォリオを確認することです。
ポートフォリオはデザイナーの過去の作品やプロジェクトを集めたもので、デザインのスキルやスタイルを直接確認するための重要な資料です。デザインの技術力や創造力、完成度を評価するのに役立ちます。
二つ目は、社内のデザイナーに協力してもらうことです。
現役の社内デザイナーに協力してもらうことで、候補者のスキルやフィット感を実際の業務環境で評価することができます。特に、技術的なスキルやチームでの働き方を確認するために有効です。デザイナーは、候補者のポートフォリオや実技試験の内容について専門的な視点で評価できます。デザインのトレンドやツールの使い方、技術的なスキルについての深い知識を持っているため、より正確な評価が可能です。
三つ目は、コミュニケーション能力を確認することです。
デザイナーはクリエイティブなアイデアを伝え、クライアントやチームと効果的にコミュニケーションを取る能力が必要です。コミュニケーション能力を評価することで、プロジェクトの成功やチームとの協力がスムーズに行えるかを確認します。
四つ目はインターンシップを実施することです。
インターンシップを通じて、候補者の実務スキルや職場での適応力を実際の業務環境で確認することができます。短期間での働き方を見て、長期的な雇用の可能性を評価します。
インターンシップ期間中に実際のデザイン業務を担当させ、その成果物や仕事の進め方を評価します。
デザイナーの採用手法を7つ紹介します。
・求人媒体
・ダイレクトリクルーティング
・オウンドメディア
・SNS
・リファラル採用
・逆求人イベント
・採用代行
それぞれメリットとデメリットに分けて詳しく解説します。
デザイナー採用に特化した求人媒体は、デザイン業界やクリエイティブ分野に特化しており、業界特有の要件やニーズに合った求人情報が掲載されています。これにより、企業はデザイン分野のスキルや経験を持つ求職者を効率的に見つけることができます。
おすすめの求人媒体については最後にご紹介します!
デザイン業界に特化した求人媒体は、優秀なデザイナーを多く抱えており、企業の求めるスキルセットや文化に合った候補者を迅速に紹介することができます。
また、多くのエージェントは、一般には公開されていない求人情報を持っており、より優れた候補者と出会えるチャンスが広がります。
求人媒体を利用する際の手数料は高額です。しかし、採用の質や効率を考慮すると、長期的にはコストに見合う投資となることが多いです。
ダイレクトリクルーティングは、企業が求人情報を公開するだけでなく、SNSや専門サイト、ポートフォリオサイトなどを活用して、優秀なデザイナーに直接アプローチする手法です。この手法は、従来の求人広告やエージェントを通じた採用とは異なり、企業がターゲットとする候補者に直接コンタクトを取ることができるため、特定のスキルや経験を持つ人材を効果的に発掘することが可能です。
ダイレクトにアプローチすることで、他社に先駆けて優秀なデザイナーと接触できる可能性が高まり、競争優位性が得られます。
また、エージェントを介さずに採用活動を行うため、エージェント手数料などのコストを削減することができます。
ダイレクトリクルーティングは、一人一人の候補者に対して細かいリサーチと個別のアプローチが必要になるため、大量採用には不向きです。特に大量の応募者が必要な場合や、多くのポジションを短期間で埋める必要がある場合には、手間や時間がかかりすぎることがあります。
オウンドメディアとは、企業が自ら所有・運営するメディアのことです。これには、企業ブログ、公式ウェブサイト、SNSアカウント、メールマガジン、YouTubeチャンネルなどが含まれます。オウンドメディアを活用することで、企業は自社の価値観や文化、働き方などを伝え、デザイナーに対する魅力を効果的にアピールすることができます。
オウンドメディアを通じて、企業のデザインプロセスや成功事例、社内イベントなどを紹介し、デザイナーが共感しやすい企業文化を伝えることができます。
デザインに関するノウハウやトレンド、事例を発信することで、業界内での信頼性や影響力を高めることができます。これにより、優秀なデザイナーに対して自然と興味を引き、応募を促すことができます。
また、他の採用手法と比べて、オウンドメディアは比較的低コストで運用でき、継続的な採用活動に適しています。
オウンドメディアによる採用活動は、短期間で即効性のある結果を得るのが難しいです。コンテンツが蓄積され、信頼性が高まるまでには時間がかかるため、急いで人材を採用したい場合には不向きです。
また、効果的なオウンドメディア運用には、デザインやマーケティング、SEOの専門知識が必要です。これらのスキルを持つスタッフがいない場合、外部の専門家に依頼する必要があり、追加のコストが発生してしまいます。
SNSを利用した採用活動では、企業がSNSプラットフォームを通じてデザイナー候補者とコミュニケーションを取り、採用活動を行います。Instagram、LinkedIn、Twitterなど、特にビジュアルやクリエイティブに特化したSNSがデザイナー採用において人気です。
SNSは世界中のユーザーにアクセスできるため、従来の採用手法ではリーチできなかった候補者にアプローチすることができます。特に、デザインに興味を持つコミュニティやフォロワーにリーチすることで、ターゲット層を絞った採用活動が可能です。
SNSではリアルタイムでのコミュニケーションが可能であり、候補者との直接的なやり取りをスピーディに行えます。これにより、迅速な採用プロセスが実現できます。
また、SNSは比較的低コストで利用できるため、特に中小企業やスタートアップにとっては、採用コストを抑えながら効果的なリーチを得る手段となります。
SNSでは、企業の情報が予期せず拡散されるリスクがあります。誤った情報やネガティブなフィードバックが広がると、企業のイメージに悪影響を与える可能性があります。
SNSを効果的に活用するためには、継続的にコンテンツを更新し、フォロワーとの関係を維持する必要があります。これには時間とリソースがかかるため、十分な体制が整っていないと効果を上げるのが難しいです。
リファラル採用は、既存の従業員や業界内のネットワークを活用して、信頼できる候補者を紹介してもらう手法です。デザイン業界では、優れたデザイナーが他の優れたデザイナーを知っていることが多いため、リファラルを通じて質の高い候補者にアクセスすることができます。
従業員や知人が推薦する候補者は、企業文化や業務内容に適合する可能性が高いため、採用後のミスマッチを減らすことができます。
また、リファラルによる紹介は、既存の従業員や業界関係者の信頼に基づいているため、信頼性の高い候補者を見つけることができます。
このようにリファラルは、エージェント手数料や広告費を削減できるため、コスト効率が高いでしょう。
リファラルに過度に依存すると、内部のネットワークに限定され、外部の優れた人材を見逃す可能性があります。
また、従業員にリファラルを推奨する際、彼らに過度なプレッシャーがかかることがあり、推薦の質が低下する恐れがあります。
逆求人イベントでは、企業が候補者の履歴書やポートフォリオを閲覧し、興味を持った候補者と直接対話する機会が設けられます。候補者は自分の作品やスキルを企業にプレゼンテーションするため、企業は応募者のスキルやキャラクターを直接確認することができます。
逆求人イベントに参加する候補者は、自分のスキルに自信があり、積極的に新しいチャンスを求めているため、意欲の高い人材を採用できる可能性があります。
また、イベントを通じて、企業と候補者が直接コミュニケーションを取ることができるため、相互理解が深まり、ミスマッチを減らすことができます。
企業側には、イベントの準備や当日の運営に手間とコストがかかります。また、参加する社員のスケジュール調整も必要です。
また、イベントの限られた時間内で候補者を評価するため、十分な判断材料が得られないことがあります。短時間での判断が、後々のミスマッチにつながるリスクもあります。
採用代行とは、企業が自社の採用活動の一部または全体を外部の専門業者にアウトソースすることです。これにより、企業は採用プロセスにかかる時間とリソースを削減し、外部の専門知識やネットワークを活用することで、より効率的にデザイナーを採用できます。
採用代行業者は、特定の業界や職種に精通しており、豊富なネットワークを持っています。これにより、質の高い候補者を迅速に見つけ出すことができます。
採用プロセスの大部分を外部に任せることで、企業は自社のリソースを他の重要な業務に集中させることができます。特に、採用活動に慣れていない企業や、リソースが限られている企業にとって有効です。
採用代行業者は、企業のニーズに応じて柔軟に対応できるため、急な採用ニーズにも迅速に対応できます。必要に応じて、一部のプロセスだけを外部委託することも可能です。
採用代行業者が企業の文化や価値観を十分に理解していない場合、企業とミスマッチのある候補者が紹介されるリスクがあります。特にデザイナーは、企業のビジョンや文化にフィットすることが重要なため、このリスクは無視できません。
また、採用代行には一定のコストがかかります。特に高額な手数料が発生する場合、採用活動全体のコストが増加する可能性があります。
■採用代行について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
採用代行(RPO)のメリット・デメリットは?成功事例も紹介
最後にデザイナー採用に特化している求人媒体を3つご紹介します。
「ViViViT(ビビビット)」は、デザイナーに特化したダイレクトリクルーティングサービスで、企業が優れたデザイナーを効率的に採用できるプラットフォームです。
ViViViTは、国内最大級のデザイナー採用プラットフォームとして、2700社以上の企業に導入されており、10万組を超えるデザイナーのマッチングを実現しています。この実績は、プラットフォームの信頼性と効果を裏付けています。
ViViViTには、全国のデザイナーが投稿した60万点以上の作品が登録されており、企業はこのデータベースを活用して自社に最適なスキルを持った人材を探すことができます。作品を直接確認できるため、候補者のスキルレベルやデザインスタイルを視覚的に評価しやすくなっています。
「デザインのお仕事」は、デザインに関わる幅広い職種を取り扱っています。具体的には、以下のような分野が含まれます。
グラフィックデザイン: ポスター、広告、ブランディングなどのデザイン。
プロダクトデザイン: 製品や工業デザインの設計。
建築: 建物や空間のデザイン。
アート: 芸術作品やインスタレーションの制作。
WEBデザイン: ウェブサイトやアプリのデザイン。
エンターテイメント: 映画、ゲーム、メディア関連のデザイン。
このように、デザインとクリエイティブに関わる多様な業界や業種の求人情報を網羅しており、幅広い求職者のニーズに応えています。
また、「デザインのお仕事」は長年にわたって運営されており、その結果として高い認知度を持っています。長い運営歴により、企業や求職者からの信頼を築き、多くのデザイナーやクリエイティブプロフェッショナルが利用しています。
「JOB by美術手帖」は、アートやデザイン業界に特化した求人サイトです。
この求人サイトでは、デザイナーの職種をさらに細かく分類して募集をかけることができます。これにより、企業は特定のスキルや専門性を持つデザイナーを見つけやすくなります。
代表的な職種には以下3つが挙げられます。
グラフィックデザイナー: 印刷物やデジタルメディアでのグラフィックデザインを担当する職種。
Webデザイナー: ウェブサイトやアプリのUI/UXデザインを行う職種。
CGデザイナー: コンピュータグラフィックスや3Dアニメーションに関わるデザイン職。
このように「JOB by美術手帖」は、アートやデザイン業界の幅広い求人を扱い、専門的なクリエイティブ職の募集を効率的に行えるプラットフォームです。細分化された職種やメディア媒体に基づく求人情報が豊富で、企業と求職者のマッチングをサポートしています。
いかがでしたでしょうか。今回は、デザイナー採用の手法や成功のポイント、そしてデザイナー採用に特化した媒体についてご紹介しました。
本記事でお伝えした採用の成功ポイントや求人媒体が、貴社のデザイナー採用に役立つことを願っています。ぜひ、これらの情報を参考にして、効果的な採用活動を行ってください。