有効求人倍率の上昇などによって、企業の採用活動は複雑化が進み、人材を獲得しにくく難しい状況となっています。
企業の採用担当者様の中には、
・早期退職されてしまった…
・求める人材がなかなか確保できない
・採用が失敗する原因や解決策が知りたい
など、さまざまな悩みを抱えている方もいるでしょう。
本記事では、「採用のよくある失敗例」「原因」「成功させるためのポイント」「おすすめの採用方法」など詳しくご説明します!
採用失敗の具体例をご紹介します。よくあるケースは以下の6つです。
・応募が集まらない
・求める人材に出会えない
・選考中に辞退されてしまう
・内定を出したが、競合他社に取られる
・早期離職される
・期待していた能力を発揮できない
採用活動を行う際、母集団形成がうまくいかないと、求人を出してもうまく応募者数を集めることができません。このような場合、以下のような状況に陥り、採用活動に失敗してしまいます。
・求人を掲載したが応募者数が0名だった
・少ない応募者の中から内定を出さなければならず、人材を厳選できなかった
・応募者数は確保できたものの、自社が求める人材がいなかった
応募数は集まっているのに、自社が求める能力や人柄を持ち合わせた人材に出会うことができないケースもよく見られます。求人に掲載している応募資格を満たしていても、以下のようなミスマッチが生じる場合があります。
・性格や人柄が自社の雰囲気と合わない
・技術や知識力を証明できる資格を有しているものの、実務経験が足りず即戦力とはならない
・コミュニケーション力やチームワーク力など、社会的スキルを判断できない
選考フローや選考体制に問題があり、途中で応募者に辞退されてしまうケースが増えています。具体的には以下のようなケースがあります。
・面接の日程調整中に返信がなくなった
・面接当日に連絡がつかなくなった
・面接後に選考辞退の連絡が入った
選考途中までかけた労力が無駄になり、再度選考をやり直すことになります。
内定を出したにもかかわらず、応募者に辞退されてしまうこともあります。内定を通知したとき、もしくはしばらく経ってから辞退の申し出があることがあります。
競合他社が多い場合、他の企業に人材を取られてしまうこともあります。
採用後、入社してくれた人材が定着せず、すぐに転職されてしまう場合もあります。これには、以下のような理由が考えられます。
・社内の雰囲気が悪かった
・性格が合わず会社に馴染めなかった
・教育制度が悪く仕事が覚えづらかった
新入社員に早期退職されると、再度求人募集から採用活動をやり直す必要があり、大きな手間とコストがかかります。
最後に、応募者の性格やスキルが企業と合わず、期待どおりの活躍ができないケースがあります。たとえば、実務経験は豊富でも、前職特有のやり方に慣れていて、自社のルールに合わせるのが難しい場合が考えられます。
また、資格を持っていても経験が乏しい場合もあり、期待どおりにパフォーマンスを発揮するまでに時間がかかることがあります。
以上のようなケースが生じてしまうのはなぜでしょうか。ここでは、その原因と解決策について詳しく解説します。
採用担当者やリソースの不足によって、母集団形成のための戦略が不十分であることが多いです。特に企業の知名度が低い場合は、単にホームページや求人広告で応募を待つだけでは効果が限られます。
求める人物像を明確にし、それに基づいて採用手法を見直しましょう。自社が求める人材像に応じて、異なるアプローチ方法を選択する必要があるからです。
社内で成功を収めている人材を手本に、自社に最適な人材の特性を詳細に検討します。希望する人材の性格や価値観、ヒューマンスキルなどを具体化し、現場や管理職の意見も活用して、より適切な人材を見極めるための情報収集を行います。
また、これらの要素に具体的な評価基準を設定し、選考の正確性を高める必要もあります。採用手法を最適化することで、自社にマッチした人材からなる母集団を形成することができます。
母集団形成を図る際には、KPI(重要業績指標)を細かく設定することも効果的です。具体的には、以下のようなKPIが設定されることが多いです。
・説明会やインターンへの参加人数
・エントリー数
・一次面接の人数(面接設定数・実施数・通過数)
・最終面接の人数(面接設定数・実施数・通過数)
・評価A以上の人材数
これらの基準を設定しておくことで、経験や勘に頼ることなく、効率的な採用が行えます。
「優れた人材を引きつけるための魅力的な要素」の発信が不足していることが考えられます。具体的には以下のような場合です。
・暗い写真や社員数が少なく見える写真を掲載している
・基本給や残業代の詳細が記載されていない
・残業時間や業務内容、福利厚生に関する情報が不足している
SNSや自社の公式ホームページ、求人ページでの情報発信を充実させましょう。例えば、求人情報に用いる数字は業界平均と比較することで、求職者は競合他社との比較が容易になります。また、求人ページの自社紹介も、ホームページを案内するだけでなく、情報を整理して提供することが重要です。
さらに、企業の文化や価値観、ビジョンなど、独自の要素を強調しましょう。簡潔で印象に残るキーワードを使用することも大切です。写真は明るいものを選び、社員の写真を多く掲載すると、求職者に親近感を与えることができます。
企業の雰囲気など、通常は入社後でないとわからない情報をSNSなどを通じて発信することで、自社の魅力を効率的に伝えられ、入社後の早期離職やミスマッチを防ぐことにも繋がります。
選考中に自社の魅力を伝えられていないことも原因の一つです。その結果、応募者が選考中に辞退してしまうケースも多いです。
具体的には、
・企業が自分を必要としているという実感を得られず、諦めてしまう
・同時に選考を受けていた競合他社により魅力を感じた、または先に内定をもらった
・面接官とのやり取りにおいて、企業の魅力を感じられなかった
・選考中に、企業と自分のやりたいことのミスマッチを感じた
これらはいずれも「選考中に企業の魅力を感じることができなかった」という点が、応募者の自社への興味に大きく影響しています。
面接では企業に対して良い印象を持ってもらうことが重要です。応募者と直接対話することができる貴重な機会であり、企業側が人材を見極めるだけでなく、応募者が企業を評価する場でもあります。
応募者に入社したいと思ってもらうためには、面接で積極的に応募者の不安や疑問を解決するよう努めましょう。面接の終盤に「逆質問」の時間を設けることも効果的です。
選考中の辞退を防ぐためには、応募者がモチベーションを維持できる体制を整える必要があります。そして、面接後にはできるだけ早く合否連絡を行いましょう。連絡が遅いと不安感が高まり、辞退されるリスクが高くなります。
また、複数回の面接を行う場合は日程調整にも配慮が必要です。応募者の負担が大きいとモチベーションが低下します。スムーズな日程調整を行うために、オンライン面接の導入も効果的です。
インターネットの普及により、採用方法は多岐にわたっています。多くの採用手法がある中で、自社に適した方法を選べていないと、求める人材に出会うことは難しいでしょう。
採用手法には、昔からある紙媒体の求人広告や合同企業説明会に加え、求人サイトやSNSの活用も一般的になっています。
さらに、社員からの紹介で採用する「リファラル採用」や、応募者を企業に招いてマッチしそうな人をスカウトする「ミートアップ採用」などの方法もあります。
多岐にわたる採用方法のなかで、どのようなやり方が自社に適しているか見極めて活用しましょう。
・求めるスキルレベルに特化した求人サイトを使う
・自社で募集する仕事内容に特化した求人サイトを使う
・求める人材が利用していそうな媒体に求人を掲載する
やみくもに求人を公開しても、希望する人材と出会える可能性は低いでしょう。自社の求人に適した採用方法を活用し、効率よく人材を見つけられるようにしましょう。
内定者が感じている不安や懸念を解消できていないことも原因の一つです。このような状態では、競合他社に取られてしまったり、モチベーションの低下などが起こりやすくなってしまいます。
採用担当者やメンターが積極的に内定者とコミュニケーションを取ることが重要です。定期的に連絡を取り、内定者が不安や悩みを気軽に相談できる関係を築くことが理想です。LINEやメッセージツールなどの便利なコミュニケーションツールを活用し、親密な関係を築くことが望ましいです。
また内定を出したら、できるだけ早めに周囲のメンバーとの交流の機会を設けることを検討しましょう。現役社員も交えた懇親会などを開催すると、内定者が仕事の様子を想像しやすくなり、入社意欲を高めることができます。実際に働く社員との接点を多く持たせることで、内定辞退率を低下させることができます。
また、入社後のフォローも重要です。新入社員が早期に退職しないように、2~3か月ごとに定期的な面談を行い、以下の点を確認しましょう。
・業務で困っていることはないか
・モチベーションの状態
・対人関係の状況
・今後のキャリアプランについての考え
モチベーションが低い場合は、目標管理の体制を見直すか、目標管理システムを導入することが考えられます。また、周囲とのコミュニケーションが苦手な場合は、社内SNSを活用し、気軽に質問できる環境を整えることも有効です。
書類審査の担当者や面接官など、選考に関わる社員のスキルが不足していることが原因で採用に失敗するケースもあります。面接官が適切なトレーニングを受けていない場合、評価が主観的になり、採用基準が一貫しないことがあります。
面接官のスキル不足によって「性格や価値観を見極められなかった」「資格は持っていたが、実務能力を正確に判断できなかった」などの問題が発生します。面接官のスキルを向上させ、面接の場で求職者の実務能力を正しく評価できるようにすることが重要です。
社員が面接官を担当する際の準備として、以下の点を徹底しましょう。
・採用要件の把握
・面接方法および評価基準の理解
・履歴書やエントリーシートの読み込み
・面接シナリオの確認
・面接評価シートの確認
これらの準備に加えて、自社内で質問例を作成したりすることで、面接官の質を一定に保つことができるでしょう。
具体的には、配属予定先の社員からヒアリングを行い、求職者の評価を実務経験に基づいたものにすることで、面接時に相手の実力を見極められる質問ができるようになります。
研修プログラムを利用する、または自社内で模擬面接を行うといったトレーニングが効果的です。これにより、自社や職種ごとの評価項目や基準を設定し、面接官がこれらの基準を理解し、公平に評価できるようになります。
最後に、入社後の活躍や定着を見据えたおすすめの採用方法を3つ紹介します。
ダイレクトリクルーティングは自社に適した人材を企業が直接スカウトしてアプローチする方法です。
メリットとして、
・必要な人材へのみのアプローチでコスト削減できる
・人材紹介会社経由では出会えない人材と出会える
・希少職種へのアプローチに有効
などが挙げられます。
求人サイトは求人の露出量が多く、プロに求人制作を任せられるためおすすめです。
求人サイトによって登録者は異なるため、新たな出会いが期待できます。また、求人サイトに課題を相談すれば、解決方法を提案してもらえることもあります。
自社で採用のホームページを作成して、そこで求人を募集すれば外部コストをかけずに採用を行うことができます。また、求人サイトのフォーマットに縛られず、自由に情報を提供できるため、自社の魅力を広く伝えることができます。
総務省の調査によると、新入社員の89.6%が企業ホームページを参考にしたと回答しており、応募数自体が増える可能性も高まります。ホームページの運営にはある程度の知識が必要になりますが、それさえ備わっていれば大きな効果が見込めるでしょう。
本記事では、採用のよくある失敗例やその原因、成功させるためのポイント、おすすめの採用方法などを事例も交えながら解説しました。
適切な採用戦略を立案し適宜見直すことで、採用課題解決への糸口も見えてくるでしょう。本記事が採用活動の成功の一助となれば幸いです。