採用ミスとは、企業が求めていた人材と異なる人材を採用してしまうことです。採用ミスに悩まされている方も多くいらっしゃるかと思います。
採用ミスに悩む担当者の方々の中には
・そもそも採用ミスとは何か?
・採用ミスが起きると何がまずいのか?
・採用ミスへの解決策は?
など、さまざまな疑問や不安を抱えているかと思います。
本記事では、これらの疑問に答えるべく、採用ミスが発生する要因やそれに対する解決策を詳しく解説していきます。
「採用ミス」とは、企業が人材採用活動の過程で誤った判断を下してしまい、本来求めていた能力やスキルを持つ人材とは異なった人材を採用してしまうことを指しています。
このようなミスが発生すると、採用された人が業務に適応できず、最終的には退職に至ってしまうことが往々にしてあります。採用ミスが継続的に繰り返されてしまうと、企業の信頼性やブランドイメージなどに悪影響を及ぼす可能性があるため、十分な注意が必要といえるでしょう。
採用ミスは主に以下の2つのケースに分類されます。
スキルのミスマッチとは、採用した人材が業務に必要なスキルや能力を持っていないことを指しています。スキルは「ハードスキル」と「ソフトスキル」の2つに分類することができます。
ハードスキルのミスマッチは、業務に直接的に関連している専門知識や技術が不足している場合に起こると考えられます。特に以下の職種の場合はよりミスマッチがおきやすいといえます。
例えば、セキュリティエンジニアを採用したが、実際には求められるプログラミング言語を扱えないケースなどもあります。候補者のポテンシャルを重視して採用したというケースにおいても、業務スピードに追いつけないとミスマッチが発生してしまうといえます。中途採用の場合だと、即戦力を期待しているため、期待する能力がないと明確な採用ミスとなるでしょう。
ソフトスキルのミスマッチは、選考時に見抜けなかった場合によく発生してしまいます。ソフトスキルは、以下のような個人のパーソナリティや対人に関連している能力のことをいいます。
これらが不足していると、チーム内での協力が非常に難しくなり、採用ミスとなってしまいます。
企業文化とのミスマッチは、採用ミスの中でも特に深刻な問題だといえるでしょう。企業文化には体育会系であったり、職人気質、ベンチャー気質など、様々なタイプがあるといえます。企業文化に適応できない人材は、働きづらさを感じるだけでなく、企業の理念に反する行動をとることとなる可能性があり、企業のイメージ低下を招くことがあります。
企業文化への適応には多くの時間がかかりますが、それでも適応できない場合は改善が困難ともいえるでしょう。したがって自社の文化に適合しないと判断される応募者に関しては、どんなに優れたハードスキルを持っていても採用を見送るべきだと考えられます。
採用ミスが発生すると、ミスから派生して企業に様々な問題を生じさせます。主に3つあります。
1点目は、早期離職でコストが肥大化することです。採用ミスにより早期に離職されると、具体的には以下のようなコストが無駄にとなってしまいます。
さらに、早期離職によって空いた人材を埋めるために、新たな人材の採用と研修に追加のコストが発生します。
2点目は、既存社員の負担増加です。採用ミスにより、職場の雰囲気が悪化し、既存の社員との対立が生じることがあります。
とりわけ早期離職が発生することによってプロジェクトの人員不足が生じるケースは多々あります。人員不足は既存の他社員の業務負担を増加させます。これによって、生産性の低下や組織全体のエンゲージメントの悪化が引き起こされるというリスクがあります。
3点目は企業評判の悪化です。頻繁な人材の入れ替わりにより、取引先の企業からの信頼が低下してしまう可能性があります。
また、企業の離職率が高いと、「この企業は働きにくいのではないか」と求職者に対し印象を与え、優秀な人材が応募を避ける原因となってしまいます。さらに、早期に退職した人材が企業の悪い評判を広めることによって、企業の評判を損ない新たな人材の採用が難しくなるリスクも孕んでいます。
採用ミスが生じる企業外部における要因は何でしょうか。主に3つ挙げられます。
1点目は労働人口減少による採用スピードの急速化です。少子高齢化や人口減少の影響によって労働人口は年々減少してきています。この結果として、多くの企業においては労働力の不足に直面しており、迅速な人材確保が求められるようになってきております。
例えば、多くの企業では優秀な人材を確保することを目的として、求職者に対して迅速に内定通知を出す傾向があります。採用プロセスを短縮化することによって、候補者が他社に流れるリスクを減らす狙いがあるのです。
しかし、この短期間での採用フローでは、候補者を十分に理解する時間を取るのが非常に難しいです。とりわけ、ソフトスキルの評価が不十分になることが多くあります。そのため、結果として現場で働くスタッフとの適合性を評価する機会が不足し、採用ミスが発生するリスクが高まってしまうのです。
2点目はグローバル化による外国人人材の増加です。現代のビジネス環境では、足元でグローバル化の進展が急速化しており、多様な文化的なバックグラウンドを持つ人材が増えています。例えば、日本国内の企業でも外国人労働者が増加し、異なる文化を持つ人材が企業に新しい視点や幅広い技能を提供しているのです。
画像引用元:外国人労働者の数を確認 これまでの推移、アフターコロナの動向は?
しかし、文化的な違いや価値観の相違から、職場でのミスマッチが発生しやすくなっています。異文化に対する理解が不足している場合や、社内コミュニケーションのギャップが原因で、採用後に適応が難しくなるケースが増えています。これにより、採用ミスや早期退職のリスクが高まります。
3点目はリモート面接の増加で適切な評価が困難なことです。昨今では、リモートワークが普及し、採用プロセス全体がオンラインに移行するケースも増えています。オンライン面接では、対面面接と比べて候補者のボディーランゲージや表情、姿勢といった非言語的な情報(ノンバーバルコミュニケーション)を読み取ることが難しく、人柄や態度を正確に評価するのが困難です。
画像引用元:テレワークについて「導入状況の推移」
オンライン面接はインタラクティブな交流が限られるため、候補者のコミュニケーションスタイルや対人スキルを評価するのが難しくなります。結果として、採用ミスが発生する可能性が高まります。
採用ミスが生じる企業内部における要因はどのような要素が挙げられるのでしょうか。主に6つあります。
1点目は現場社員と人事で人材要件が異なることです。現場(各部署)と人事部門で求める人材像が一致していないことが原因で、採用ミスが発生することがあります。例えば、現場側は業務を円滑に進めるために、具体的なスキルや経験を持った人材を求めることが多いです。一方で、人事側は企業文化や価値観に合うかどうか、将来的な成長ポテンシャルなどを重視する傾向があります。これにより、現場が求めるスキルセットを持っていないが、企業文化には合う人材が採用され、現場での実務において力を発揮できないことが発生します。
採用ペルソナを作成することで、現場と人事部門が求める人材像を具体的に定義し、採用基準を明確にします。具体的なステップとして、まず現場と人事が共同で必要なスキルや経験、性格特性、業務における役割を具体的にリストアップします。次に、定期的なミーティングを行い、候補者の評価基準や選考状況について情報を共有します。これにより、現場のニーズや変更点についても議論し、必要に応じて採用基準を更新することができます。例えば、IT企業では、エンジニアの技術スキルに加えて、プロジェクト管理能力やコミュニケーションスキルも重視するペルソナを作成し、両部門が共通の基準で候補者を評価することが効果的です。
2点目は面接官が不適切な評価を行っていることです。
面接官のトレーニングは、採用プロセスの品質を向上させるために欠かせません。具体的なトレーニング方法として、以下3つのような手法があります。
3点目は企業文化とのマッチ度を適切に評価していないことです。企業文化やチームの価値観に合わない人材を採用してしまうことも、採用ミスの原因となります。企業文化に適応できない人材は、入社後に働きづらさを感じ、早期退職するリスクが高まります。例えば、スタートアップ企業で迅速な意思決定や高い自主性が求められる環境に、安定志向が強く指示待ちの傾向がある人材を採用してしまうと、文化的なミスマッチが発生しやすくなります。
企業文化や価値観を具体的に伝えるための施策として、以下2つの方法があります。
4点目はリファレンスチェックが不十分であることです。リファレンスチェックを行わず、候補者の過去の職歴や実績を十分に確認せずに採用することが、採用ミスの一因となります。例えば、候補者が履歴書や面接で話した内容が事実と異なる場合、入社後に期待されたパフォーマンスを発揮できないことがあります。
リファレンスチェックを徹底するための方法として、以下の手法が効果的です。
画像引用元:https://site.backcheck.jp/
また最近では、backcheckなどのオンライン型のリファレンスチェックサービスを利用する企業も増加傾向にあります。オンライン型リファレンスチェックサービスの「back check」では、採用候補者の働く姿を現職や前職の上司、同僚からのヒアリングレポートにより可視化することができます。
面接において候補者自身による自己PRや志望動機だけから判断するだけではなく、第三者による客観的な評価を知ることができて、入社後のミスマッチを減らすことに繋がります。
5点目は時間やリソースの不足です。採用プロセスに十分な時間やリソースを割けないことも、採用ミスの原因となります。忙しい採用担当者や人事部門が、短期間で多くの候補者を選考する必要がある場合、十分な評価が行えず、ミスマッチが発生するリスクが高まります。
採用プロセスを効率化し、リソースを確保するための方法として、以下の手法があります。
6点目は求人広告が魅力的でないことです。求人広告が曖昧で具体性に欠ける場合、候補者が職務内容や期待される役割を誤解し、採用後にミスマッチが発生するリスクが高まります。例えば、求人広告に「柔軟な対応ができる方」とだけ記載している場合、具体的な業務内容や求められるスキルが明確でないため、候補者が自分に適したポジションかどうか判断できません。
詳細で明確な求人広告を作成するための方法として、以下の手法があります。
いかがでしたでしょうか。
本記事では、
・そもそも採用ミスとは何か?
・採用ミスが起きると何がまずいのか?
・採用ミスへの解決策は?
など、さまざまな疑問や不安を抱えている方に向けて、採用ミスが発生する要因やそれに対する解決策を詳しく解説してきました。ぜひ参考にしてください。