
新卒採用活動において、優秀な学生の確保が多くの企業にとって課題となっています。
しかし、「ナビサイトに掲載しても応募が集まらない」「求める人物像と出会えない」といった悩みを抱えている担当者の方も多いのではないでしょうか。このような課題は、学生の価値観の多様化や採用手法の複雑化といった、市場の変化に対応できていないことが原因かもしれません。
本記事では、新卒採用コンサルティングの基本から、採用代行(RPO)との違い、そして導入の際に失敗しないための注意点まで詳しく解説します。この記事を読めば、自社の採用課題を解決し、成功に導くためのヒントが見つかるでしょう。
新卒採用コンサルティングとは?基本からサービス内容までを解説
新卒採用市場は、学生の価値観の多様化や企業の採用手法の複雑化により、年々難易度を増しています。多くの企業が「学生が集まらない」「内定辞退が減らない」「求める人材と出会えない」といった課題を抱えているのではないでしょうか。そのような状況で注目されているのが、新卒採用コンサルティングです。
- 採用コンサルティングが今、企業に求められる背景
- 採用代行(RPO)との違いと使い分けのポイント
- 新卒採用コンサルティングで依頼できるサービス一覧
- こんな企業は導入を検討すべき!課題別チェックリスト
このセクションでは、新卒採用コンサルティングの基礎知識から、具体的なサービス内容、そして導入を検討すべき企業の判断基準までを解説します。
採用コンサルティングが今、企業に求められる背景
近年、少子化による新卒学生の減少は避けられない現実です。さらに、就職活動の早期化やオンライン化が加速し、企業側の採用活動は複雑さを増しています。
こうした市場環境の変化に対応するためには、従来のような「ナビサイトに掲載して待つ」だけの採用手法では限界があります。自社の採用課題を正確に分析し、戦略的に施策を実行していく専門的な知見が不可欠となりました。
しかし、多くの企業では採用担当者が採用業務に加えて他の業務も兼任しており、最新の市場トレンドをリサーチしたり、採用戦略をゼロから構築したりするだけの時間やリソースが不足しているのが現状です。
そこで、専門的な知見を持つプロフェッショナルとして、採用活動の戦略立案から実行までを一貫して支援する新卒採用コンサルティングの必要性が高まっているのです。専門家の客観的な視点を取り入れることで、自社だけでは気づけなかった課題を発見し、より効果的な採用活動につなげることが可能になります。
採用代行(RPO)との違いと使い分けのポイント
新卒採用コンサルティングと混同されやすいサービスに「採用代行(RPO)」があります。両者は採用活動を外部に委託するという点では共通していますが、その目的と役割は大きく異なります。
- 新卒採用コンサルティング:採用課題の根本原因を特定し、解決するための戦略を立案することが主な目的です。企業の採用課題に応じて、採用ブランディング、選考フロー設計、内定者フォロー戦略など、個別の採用戦略をオーダーメイドで提案します。戦略実行後の効果測定や改善提案まで、企業の採用力を高めるための「頭脳」となる役割を担います。
- 採用代行(RPO):人事・採用担当者の業務負担を軽減することが主な目的です。説明会予約の管理、応募者への連絡、面接日程調整など、採用活動における定型業務を代行します。あくまで企業の採用活動の「手足」として機能し、戦略立案や根本的な課題解決には関わらないのが一般的です。
新卒採用コンサルティングと採用代行は、どちらか一方を選ぶものではなく、企業の課題に応じて使い分けることが重要です。
- コンサルティングが必要なケース:採用戦略そのものに課題がある場合。「なぜ学生が集まらないのか?」「どういうメッセージを伝えればいいのか?」といった、根本的な原因を特定し、改善したい場合です。
- 採用代行が必要なケース:採用戦略は明確だが、マンパワーが足りない場合。採用担当者が選考業務に集中できるよう、事務作業を効率化したい場合です。
両方のサービスを組み合わせることで、戦略立案から実務まで一貫してプロの支援を受けることも可能です。
新卒採用コンサルティングで依頼できるサービス一覧
新卒採用コンサルティングで依頼できるサービスは、多岐にわたります。企業の課題やニーズに応じて、必要なサービスを組み合わせて支援を受けるのが一般的です。
- 採用戦略設計・コンサルティング:企業の事業戦略や組織課題を深く理解した上で、どのような人材を、いつまでに、何人採用するかといった採用ゴールを明確にし、そのための具体的な戦略を設計します。
- 採用ブランディング:学生に「この会社で働きたい」と思ってもらうために、企業の魅力や価値観を言語化し、一貫したメッセージとして発信するための戦略を立案します。ウェブサイトやSNS、採用ピッチ資料の改善なども含まれます。
- 採用要件定義・選考プロセス設計:求める人物像を明確に言語化し、それに合わせた選考基準やフローを設計します。面接官のトレーニングや、選考データに基づいた改善提案も行います。
- 母集団形成・集客支援:企業に合う学生と効率的に出会うための集客施策を提案・実行します。ナビサイトの選定、ダイレクトリクルーティング、イベント出展など、多角的なアプローチを支援します。
- 内定者フォロー・入社後フォロー:内定辞退を防ぐためのフォロー施策を立案し、入社へのモチベーションを維持する支援を行います。入社後の定着率向上に向けた研修プログラムの設計なども含まれます。
企業の課題やニーズに応じて、必要なサービスを組み合わせて支援を受けるのが一般的です。
新卒採用コンサルティングサービスの選び方【3つの重要ポイント】
新卒採用コンサルティングの重要性が理解できたところで、次に直面するのが「どのサービスを選べばいいのか」という問題です。
- ポイント1:コンサルティングの得意領域・専門性
- ポイント2:支援範囲と料金体系
- ポイント3:導入後のノウハウ蓄積と伴走体制
サービスを比較検討する際には、以上の3つのポイントを押さえることが重要です。
ポイント1:コンサルティングの得意領域・専門性
新卒採用コンサルティング会社は、それぞれに得意とする領域や専門性が異なります。特定の業界に特化していたり、採用ブランディングに強みを持っていたり、ITエンジニア採用に特化していたりするなど、その特徴はさまざまです。
まずは、自社が抱える最も重要な課題を明確にし、その課題解決に特化した実績やノウハウを持つコンサルティング会社を選びましょう。
たとえば、母集団形成に課題があるなら集客施策に強い会社を、内定辞退率の改善が目的なら内定者フォローに実績のある会社を選ぶといった具合です。企業のウェブサイトや導入事例を確認し、自社と似たケースでの成功事例があるかを確認すると良いでしょう。
ポイント2:支援範囲と料金体系
サービスを選ぶ上で、支援範囲と料金体系のバランスは非常に重要です。どこまでの業務を依頼したいのか、どのような料金体系が自社に合っているのかを事前に整理しておきましょう。
支援範囲:戦略立案のみを依頼したいのか、それとも戦略実行まで一貫して任せたいのか。業務の切り分けを明確にすることで、過不足のないサービスを選べます。
料金体系:コンサルティング費用は、「月額顧問型」「プロジェクト型」「成果報酬型」など、さまざまな形態があります。プロジェクト全体にかかる費用だけでなく、追加で費用が発生する可能性がある項目(例:ツール利用料、広告費など)も確認しておきましょう。
ポイント3:導入後のノウハウ蓄積と伴走体制
採用コンサルティングを導入する最大のメリットの一つは、プロのノウハウを吸収し、将来的に自社の採用力を高めることです。そのため、単に業務を代行してくれるだけでなく、自社に採用ノウハウが蓄積されるような支援体制があるかを確認しましょう。
例えば、「コンサルタントが定期的に採用担当者向けの勉強会を実施してくれる」「採用活動データを基にした効果測定レポートを提供してくれる」といったサービスは、長期的に見て自社の採用力向上に貢献します。
また、担当コンサルタントとの相性も非常に重要です。企業の文化や価値観を理解し、密にコミュニケーションを取れるパートナーであるかを見極めるために、初回の面談や問い合わせを通じて人柄や対応をチェックしておきましょう。
【5分で分かる】採用代行とは?費用、メリデメ、委託可能な業務を解説
【料金体系別】新卒採用コンサルティングの費用相場を徹底解説
新卒採用コンサルティングの費用は、サービス内容や支援範囲、企業の規模によって大きく変動します。ここでは、一般的な料金体系とその相場感について解説します。
- 月額顧問型(伴走支援型):月額費用を支払うことで、継続的にコンサルティング支援を受けるモデル。
- プロジェクト型(スポット依頼型):特定のプロジェクト(例:採用ブランディング、選考フロー設計など)に対して費用を支払うモデル。
- 成果報酬型:採用人数や内定承諾数など、成果に応じて費用を支払うモデル。
月額顧問型(伴走支援型)の費用相場と特徴
月額顧問型は、継続的なパートナーとして採用活動全体を支援してもらう料金体系です。 費用相場:月額20万円〜100万円以上 特徴:
- メリット:年間を通して計画的・継続的に採用活動を改善できる。担当コンサルタントとの信頼関係を築きやすく、細やかな相談が可能。
- デメリット:成果にかかわらず固定費用が発生するため、採用人数が少ない場合や効果がすぐに出ない場合にコストが高く感じられることがある。
プロジェクト型(スポット依頼型)の費用相場と特徴
特定の採用課題を解決したい場合に適した料金体系です。 費用相場:プロジェクトあたり50万円〜300万円以上 特徴:
- メリット:予算や期間を明確に設定しやすい。必要な支援だけをピンポイントで依頼できる。
- デメリット:契約外の業務には追加費用が発生する場合がある。継続的な支援は受けられないため、短期的な課題解決に向いている。
成果報酬型の費用相場と注意点
採用成功時に費用を支払う料金体系です。 費用相場:採用人数×想定年収の10%〜30% 注意点:
- 採用人数が少ない場合はコストを抑えられる可能性がある一方で、優秀な学生が複数名採用できた場合には、コンサルティング費用が想定以上に高額になることがあるため注意が必要です。
- 成果報酬型は採用代行サービスに多い料金体系であり、戦略立案などのコンサルティング業務には適用されないことが一般的です。
自社に最適な料金プランを選ぶためのヒント
どの料金プランが最適かは、企業の状況や目指すゴールによって異なります。
- 長期的な採用力向上を目指すなら:月額顧問型を検討しましょう。プロの知見を継続的に学び、自社にノウハウを蓄積できます。
- 特定の課題を短期で解決したいなら:プロジェクト型がおすすめです。例えば、「採用ブランディングだけ強化したい」といった明確な目的がある場合に適しています。
- まずは最小限のコストで試したいなら:採用代行(RPO)の成果報酬型サービスから始めるのも一つの手です。ただし、根本的な課題解決にはつながらない可能性があることを理解しておきましょう。
【厳選】おすすめ新卒採用コンサルティングサービス4選
ここでは、新卒採用コンサルティングサービスを厳選して4社ご紹介します。各社の特徴、費用、問い合わせ先を比較検討し、自社に最適なパートナー選びにお役立てください。
株式会社uloqo
株式会社uloqoは、中小・ベンチャー企業の採用支援に特化したコンサルティングファームです。採用のプロが企業に伴走するスタイルで、リソース不足に悩む企業の採用活動を強力にバックアップします。採用戦略の立案から面接代行、内定者フォローまで一気通貫で支援することが大きな強みです。
出典:)「株式会社uloqo」
特徴
- 採用担当者と同じ目線での伴走支援
- 採用のプロが二人三脚で伴走するスタイル
- 採用戦略から実務まで一気通貫で対応可能
- 中小・ベンチャー企業に特化した採用ノウハウ
- 採用ノウハウの組織内蓄積を重視した支援
費用
- 月額:30万円〜
- ※ご予算や支援範囲に応じて要ご相談可能
株式会社クイック
株式会社クイックは、創業から70年近くにわたり、人材採用・人材育成を支援してきた実績を持つ企業です。新卒採用コンサルティングでは、独自のノウハウとネットワークを活かし、採用活動のPDCAサイクル構築から、採用業務の効率化まで幅広くサポートします。
出典:)「株式会社クイック」
特徴
- 70年近い歴史と実績に基づく採用ノウハウ
- 採用活動のPDCAサイクル構築支援
- 採用業務の効率化・工数削減を目的とした支援
費用
- 新卒採用コンサルティング:880,000円~
- 新卒採用代行・アウトソーシング(RPO):110,000円~
- スカウト型採用企画:380,000円~
- 初期費用:要相談
株式会社ネオキャリア
株式会社ネオキャリアは、人材サービス事業を幅広く展開しており、新卒採用コンサルティングもその一つです。求人メディアや人材紹介、イベントなど、多様なサービスを組み合わせて、企業の採用課題に応じた最適なソリューションを提案します。
出典:)「株式会社ネオキャリア」
特徴
- 豊富な自社サービスを活かした提案力
- 採用戦略構築から実務まで、幅広いニーズに対応
- 全国各地の拠点を持つ強固なネットワーク
費用
- 選考フロー設計:30万円~
- 採用ブランディング:100万円~
- 内定者フォロー設計:30万円~
- 面接支援・運用支援(採用アウトソーシング):月額5万円~
株式会社アールナイン
株式会社アールナインは、採用のプロを企業に派遣する「採用代行(RPO)」サービスに強みを持つ企業です。採用業務の一部をアウトソースすることで、採用担当者の負担を軽減し、より戦略的な業務に集中できる環境を提供します。
出典:)「株式会社アールナイン」
特徴
- 採用代行(RPO)に特化したサービス
- 採用業務の効率化と工数削減に貢献
- 必要な業務のみを依頼できる柔軟な支援体制
費用
- 人事ライトプラン:月額20万円~
- 月額固定型:月額30万円~
- 変動型プラン:月額10万円~
新卒採用コンサルティング導入で失敗しないための注意点
新卒採用コンサルティングを導入すれば、必ず成功するわけではありません。導入効果を最大限に引き出すために、以下の3つの注意点を意識しましょう。
- 注意点1:事前の課題整理とゴールの明確化
- 注意点2:担当者との相性とコミュニケーション
- 注意点3:自社の内製化を見据えた支援内容か
注意点1:事前の課題整理とゴールの明確化
コンサルティング会社に丸投げするのではなく、**「何に課題を感じているのか」「コンサルティングを通じて何を達成したいのか」**を事前に社内で明確にしておくことが重要です。
- 課題の整理:「応募数が少ない」「内定辞退が多い」「ミスマッチが頻発する」など、具体的な課題を特定しましょう。
- ゴールの明確化:「採用人数〇人達成」「内定辞退率を〇%改善」といった具体的な数値を設定することで、コンサルティング会社も最適な提案を行いやすくなります。
このプロセスを怠ると、契約後に「思っていたサービスと違った」といったギャップが生じる原因となります。
注意点2:担当者との相性とコミュニケーション
採用コンサルティングは、企業の課題解決を二人三脚で進めるパートナーシップです。そのため、担当コンサルタントとの相性は非常に重要です。
- 信頼関係の構築:自社の文化や事業を深く理解し、的確なアドバイスをくれる相手かを見極めましょう。
- 密なコミュニケーション:進捗報告や課題の共有を密に行い、お互いに認識のズレがないかを確認し続けましょう。
円滑なコミュニケーションは、プロジェクト成功の鍵を握ります。
注意点3:自社の内製化を見据えた支援内容か
コンサルティングに依存し続けるのではなく、将来的に自社で採用活動を回せるようになることをゴールとしましょう。
- そのためには、コンサルティング会社が「ノウハウの共有」や「人材育成」に積極的に取り組んでくれるかを確認することが重要です。単に業務を代行するだけでなく、なぜこの戦略を取るのか、どうすれば効果が出るのかといったプロの思考プロセスを学べるサービスを選びましょう。
新卒採用コンサルティングについてよくある質問(FAQ)
新卒採用コンサルティングについてよくある質問をまとめました。
新卒採用コンサルティングを導入するメリットは?
新卒採用コンサルティングを導入することで、専門家の視点から自社の採用課題を正確に分析し、効果的な戦略を立案できます。これにより、採用のミスマッチを防ぎ、効率的な母集団形成や内定辞退率の改善につなげることが可能です。
採用代行(RPO)との違いは何ですか?
新卒採用コンサルティングは、採用戦略の立案や根本的な課題解決を目的とします。一方、採用代行(RPO)は、説明会予約管理や応募者連絡などの定型業務を代行し、人事担当者の業務負担を軽減することが主な目的です。
コンサルティングを依頼するとどのくらい費用がかかりますか?
費用は、サービス内容や支援範囲によって大きく異なります。月額顧問型、プロジェクト型、成果報酬型など様々な料金体系があり、費用相場は月額20万円〜100万円以上、またはプロジェクトごとに50万円〜300万円以上が目安です。
どのような企業が導入を検討すべきですか?
「学生が集まらない」「内定辞退が多い」「求める人材と出会えない」といった明確な課題を抱えている企業は、導入を検討すべきです。また、採用担当者のリソースが不足している企業や、採用ノウハウを蓄積したい企業にも適しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事では、新卒採用コンサルティングについて、その基礎知識から選び方、費用相場、そして導入時の注意点まで幅広く解説しました。
新卒採用コンサルティングは、単に業務を代行するだけでなく、採用戦略の根本的な見直しから、企業に採用ノウハウを蓄積するまで、多岐にわたる支援を提供します。これにより、自社だけでは気づけなかった課題を発見し、より効果的な採用活動を実現することが可能です。
本記事を参考に、自社の課題を明確にし、最適なパートナーを見つけることで、新卒採用の成功を掴んでください。