採用活動の効率化や質の向上を目指す企業が増える中で、「採用代行(RPO)」という選択肢に注目が集まっています。
人材不足や業務の属人化といった採用の課題に対し、外部の専門業者を活用する動きが進んでいるのが現状です。
本記事では、採用代行の基本的な定義や依頼できる業務内容、サービスの種類、費用相場やメリット・デメリットまでを網羅的に解説します。
関連動画:採用代行(RPO)完全ガイド|急拡大の理由と委託できる業務を徹底解説
採用代行(RPO)とは?
採用活動を外部の専門会社に委託する「採用代行(RPO)」は、人事部門の負担を軽減し、採用の質やスピードを高める手段として注目されています。ここでは、RPOの基本情報をわかりやすく整理します。
- 採用代行(RPO)の定義と役割
- 採用代行で依頼できる主な業務領域
それぞれについて詳しく説明します。
採用代行(RPO)の定義と役割
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)とは、企業の採用活動の一部またはすべてを外部の専門業者に委託するサービスです。募集から面接調整、内定者フォローまで、採用業務を効率化しながら、専門性の高いサポートを受けられる点が特徴です。
企業は採用にかかる負担を軽減しつつ、採用の質やスピードを向上させることが可能になります。
採用代行で依頼できる主な業務領域
採用代行(RPO)は、単なる「採用事務のアウトソーシング」ではなく、採用の上流設計から実行・改善までを一貫して支援するサービスです。
依頼できる範囲は企業の課題やリソース状況によって異なりますが、一般的には以下の9領域が中心となります。
- 採用計画の立案と戦略設計: 年間採用数やペルソナ設計、KPIの設定、チャネル戦略など、採用の土台を設計。
- 母集団形成施策の実行: スカウト・広告・紹介・リファラル・SNSなど複数チャネルを組み合わせ、ターゲット設計と集客を最適化。
- 求人媒体の選定・原稿作成・掲載管理: 業界や職種に適した媒体を選定し、原稿作成から掲載・効果検証まで運用。
- スカウト配信・ターゲットアプローチ: 候補者層を分析し、媒体ごとの特性に応じたメッセージ設計と改善提案を実施。
- 応募者対応・書類選考: 応募者への初期対応やスクリーニングを迅速に行い、離脱防止と採用体験を向上。
- 面接日程の調整業務: 候補者と面接官のスケジュール調整、再調整、リマインドなど、煩雑な調整業務を代行。
- 説明会・初期面接の実行支援: 採用説明会や一次面接の運営を部分的に代行し、短期大量採用や繁忙期を支援。
- 内定者フォロー〜オンボーディング支援: 内定後の定期連絡、書類回収、入社手続き、入社後フォローまでをサポート。
- 効果測定・改善提案・週次報告: 採用KPIの進捗を可視化し、データに基づく改善提案や仮説検証を定例で実施。
これらの業務をRPOに委託することで、採用担当者は戦略立案や面接といったコア業務に集中でき、採用のスピードと品質を同時に高めることが可能になります。
特に、母集団形成・スカウト・調整業務などは「手間と工数が膨らみやすい領域」であり、RPO活用による効果が最も実感しやすい部分です。
採用代行が注目される背景:外的要因
日本の採用市場は、ここ数年で構造的な変化を遂げています。
とくに人口動態の変化、情報収集手段の多様化、そしてコロナ禍をきっかけとした働き方・採用活動のオンライン化は、企業の採用戦略に直接的な影響を与えています。
これらの変化は、人事部門だけで対応するには限界があり、採用代行(RPO)への需要を押し上げる要因となっています。
- 人口減少に伴う母集団の縮小
- サービスの多様化と分散
- 情報取得経路の多様化
- コロナ後の採用市場の変化
以下では、こうした外部環境の変化が採用代行の必要性を高めた具体的な背景を順に解説します。
人口減少に伴う母集団の縮小
日本では少子化の影響により、若年層の労働力人口が年々減少しています。
総務省統計局の「労働力調査」によると、15〜24歳の労働力人口は長期的に減少傾向が続いており、新卒採用市場では「母集団が集まらない」という課題が顕在化しています。
その結果、従来のように1つの媒体に求人を掲載するだけでは、十分な応募者数を確保することが難しくなっています。
労働力調査 (基本集計)2025年(令和7年)8月分|総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf
サービスの多様化と分散
「リクナビ」「マイナビ」といった従来の大型ナビサイトに加え、「ワンキャリア」「OfferBox」「外資就活ドットコム」など、特色ある就職支援サービスが急増しています。その結果、求職者の利用サービスが分散し、企業側は「どのチャネルをどう使うべきか」という選定・運用コストが増大しています。
情報取得経路の多様化
インターンシップの一般化やSNS(Twitter、Instagram、YouTube、TikTokなど)の普及により、学生は企業との接点をより早期かつ多様な形で持つようになっています。 企業や社員による発信が活発化したことで、求職者は企業の雰囲気や業務内容を直接知ることが可能になりました。
その結果、企業側にとっては従来の求人掲載や説明会だけでは十分なアプローチが届かず、採用活動の難易度が一層高まっています。
コロナ後の採用市場の変化
コロナ禍を経てリモートワークが一般化したことで、採用活動もオンライン化が進み、外部委託への抵抗感が薄れました。
内閣府の調査によると、コロナ初期の2020年には全国のテレワーク実施率が27.7%まで急増し、その後も多くの企業でオンライン前提の働き方が定着しています。
また、国土交通省の「令和6年度テレワーク人口実態調査」でも、雇用型就業者の約4人に1人がテレワークを継続していると報告されています。こうしたオンライン化の進展により、RPOサービスの導入ハードルが大きく下がり、特にスタートアップや急成長企業を中心にニーズが急拡大しています。
参考:)
「『地域の経済2020-2021-地方への新たな人の流れの創出に向けて-』の公表にあたって|内閣府」
https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr20-21/chr20-21_01-03.html
「テレワーカーの割合は下げ止まり傾向~令和6年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~|国土交通省」
https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi03_hh_000165.html
採用代行が注目される背景:内部要因
外的環境の変化に加えて、企業の「採用を担う現場」そのものにも大きな変化が起きています。 企業の採用現場では、これまで以上にスピードと精度の両立が求められるようになっています。
こうした状況下で、限られたリソースを補い、採用の質とスピードを両立させる手段として採用代行(RPO)が注目を集めています。
- 受動型採用の限界
- 人事に求められるスキルの高度化
- 採用意欲上昇に伴う業務負荷の増大
以下では、企業内部の課題がどのように採用代行の必要性を高めているのかを、3つの観点から詳しく解説します。
受動型採用の限界
求職者の動きが分散し、かつ早期化・複線化する中で、求人広告を出して待つだけの受動的な採用スタイルでは、ターゲット人材に届かなくなっています。そこで注目されるのが、スカウト型やイベント型など、攻めの採用手法であり、これらは外部パートナーによる代行が有効です。
人事に求められるスキルの高度化
多様な採用チャネル、複雑化する学生動向、オンライン選考への対応など、人事に求められるスキルは大きく高度化しています。加えて、マーケティング視点やデータ分析力も必要とされるようになっており、すべての企業がそれに対応できるとは限りません。
採用意欲上昇に伴う業務負荷の増大
採用の重要性が増す一方で、業務量も激増しています。とくに母集団形成から面接、日程調整、内定者フォローまで全てを内製で行うのは困難であり、限られた人事リソースの最適配分が課題となっています。
採用代行(RPO)サービスの主な種類
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)は、企業の採用活動を支援する形態として広く普及しています。
しかし、その支援内容や関与の深さはサービスによって大きく異なります。一般的には、「BPO型(オペレーション型)」と「コンサルティング型(ソリューション型)」の2つに大別され、さらに近年では「業界特化型」や「スコープ特化型」といった専門領域にフォーカスしたサービスも台頭しています。
ここでは、それぞれの特徴と活用シーンを整理します。
BPO型(オペレーション型)
BPO型は、企業から指示された採用業務を効率的に遂行する「実行型サービス」です。代表的な例としては「キャスター」などが挙げられ、スカウト配信や日程調整、応募者管理といった下流工程を中心に代行します。
企業側が採用戦略やターゲット設計を担い、その指示のもとでオペレーションを実行するため、コストを抑えながらリソースを補完できるのが特徴です。
特に、社内に採用戦略を構築できる人材がいる大企業や、採用事務・スカウト業務などの作業負荷を軽減したい企業に適しています。
一方で、ディレクションを企業側が担う必要があるため、戦略設計や判断力が不足している企業にとっては運用負荷が残る点に注意が必要です。
コンサルティング型(ソリューション型)
コンサルティング型は、採用課題の分析から戦略立案、実行支援までを一気通貫で行う「戦略伴走型」の採用代行です。
多くの企業が「なぜ採用がうまくいかないのか分からない」という課題を抱えており、こうした企業には、単なる業務遂行ではなく根本的な課題解決を伴う支援が必要とされています。
このタイプでは、採用市場のデータ分析やターゲット設計、採用チャネル戦略などの上流工程から関わるため、企業の採用基盤を底上げする役割を果たします。
特に、リソース不足や知見不足を抱える中小・スタートアップ企業にとっては、戦略立案と運用を一貫して支援してくれる心強いパートナーとなります。
実務レベルでは、戦略を外部に委ねるだけでなく、「ともに採用活動を設計・改善していく」という姿勢が成功の鍵となります。
業界特化型
近年増加しているのが、特定業界に特化した採用代行サービスです。
特にIT・デジタル領域や医療・介護・看護といった分野は採用ニーズが恒常的に高く、専門知識をもった人材の確保が難しいため、こうした領域を専門に支援するRPOが増えています。
一方で、金融業界など市場規模が限定的な業種では、採用代行の導入企業数が少なく、特化型サービスが成立しにくい傾向もあります。
そのため、需要が集中する業界において、専門知見と採用実績を兼ね備えたサービス提供が進んでいるのが現状です。
業界理解を前提に求人要件の言語化や訴求設計を行える点は、こうした特化型RPOの大きな強みと言えます。
スコープ特化型
もうひとつの潮流が、業務範囲(スコープ)を限定した専門特化型です。
スカウト配信や採用事務、日程調整など、採用プロセスの一部だけを切り出して代行するサービスが増えています。
これはBPO型の延長線上にあり、コストを抑えつつ業務負荷を軽減できる点が魅力です。
特にスカウト業務のようにボリュームが多くノウハウが必要な領域では、スコープ特化型の支援が効果を発揮します。
一方で、範囲を限定しているため、採用課題の根本解決にはつながりにくく、社内の戦略機能と連携して活用することが重要です。
採用代行サービスの費用体系
採用代行(RPO)の料金体系は一律ではなく、「どのような支援内容をどこまで依頼するか」によって設計が大きく異なります。
特に市場では、BPO型(オペレーション型)とコンサルティング型(ソリューション型)の性質に応じて、料金モデルが二極化しているのが特徴です。
ここでは代表的な2つの見積り方式と、費用設計を判断する際のポイントを整理します。
プロジェクト型(工数連動型)
プロジェクト型は、「稼働工数」や「人月(160時間)」を基準に費用を算出するタイプの料金体系です。
コンサルティング型の採用代行に多く見られ、支援内容が幅広く柔軟である点が特徴です。
例えば、「70時間×5,000円=月額35万円」や「160時間(1人月)=90万円」といった形で、時間単価を基準に費用を設定します。
このモデルでは、スカウト施策や面接設計など、事前に想定しづらい業務を含めて柔軟に対応できる一方、原価(人件費)のコントロールが難しいという側面もあります。
ベンダー側には、ミッションに対してどの程度のリソースを割き、どのようなKPIで成果を可視化するかを設計する力が求められます。 特に、採用課題の根本分析や戦略設計から関与するケースでは、この工数ベースの見積りが適しています。
タスク型(成果物単価型)
一方で、BPO型(オペレーション型)の採用代行では、「業務を細分化し、単価を設定する方式」が一般的です。
たとえば、「日程調整:想定50人×○円」「スカウト1件○円」「候補者対応1件○円」といった具合に、業務単位ごとに見積りが立てられます。
このモデルは、原価管理や成果の可視化がしやすく、業務の範囲が明確になる一方で、件数主義に陥りやすいという課題もあります。
たとえば「スカウト何件送るか」といった数量指標が重視されすぎると、実際の成果である「有効な候補者数」や「採用完了時期」との乖離が生じてしまうことがあります。
そのため、単価表型の見積りを採用する場合でも、単なる作業量ではなく、どの指標を成果として評価するかを明確にすることが重要です。 大手企業やBPO寄りのサービスほど、このような単価細分型の設計が採用されやすい傾向にあります。
一方で、柔軟に対応したい企業やプロジェクトベースの採用支援では、後述の工数ベース型のほうが適する場合もあります。
料金設計を判断する際のポイント
採用代行の見積りを確認する際は、「価格の内訳」よりも「成果指標の設定」を重視することが重要です。
採用の目的は「スカウトを何件送るか」ではなく、「どれだけ有効な候補者を獲得でき、いつ採用が完了するか」にあります。
したがって、活動量(件数)に基づくKPIではなく、成果(採用充足・リード獲得率など)に紐づいた評価軸を持つかどうかが、ベンダー選定の決め手になります。
BPO寄りのサービスは効率性とコスト管理に優れ、コンサルティング型は柔軟性と戦略性を重視する傾向があります。
どちらが優れているかではなく、「自社の課題と目的に対して、どの料金モデルが最適か」という観点で比較検討することが、採用代行を成功に導く鍵となります。
採用代行を導入するメリット5つ
採用代行(RPO)を導入することで、企業の採用活動にはさまざまなポジティブな変化がもたらされます。ここでは、代表的なメリットを5つに絞って解説します。
- 採用活動の質を高めてスピードを上げられる
- 用担当者の業務負担を軽減できる
- コストを最適化し、採用単価を抑えられる
- 人材の定着率を高める効果が期待できる
- 最適な採用手法を導入できるようになる
それぞれについて詳しく説明します。
採用活動の質を高めてスピードを上げられる
RPO業者は、採用に特化したノウハウと体制を持っています。そのため、求人票作成やスカウト配信、日程調整といった工程が迅速かつ的確に行われ、結果的に母集団形成や内定までのスピードが上がります。
採用の専門家による対応で、採用の質も自然と向上し、優秀な人材の早期確保が可能になります。
採用担当者の業務負担を軽減できる
採用は日々の調整業務が多く、他の業務との両立が難しくなるケースが少なくありません。RPOを導入すれば、応募対応やスカウト配信、説明会準備などの「ノンコア業務」を外部に任せることができ、担当者は面接や評価といった重要業務に集中できます。
人的リソースが限られている企業にとっては特に有効な選択肢です。
コストを最適化し、採用単価を抑えられる
媒体費や紹介手数料などに依存した従来の採用手法と比べて、RPOは必要な業務だけを委託できる柔軟性があり、ムダなコストを抑えることが可能です。
たとえば、スカウト業務のみを依頼すれば月数万円で運用可能な場合もあり、費用対効果の高い採用が実現できます。
人材の定着率を高める効果が期待できる
RPO業者は、採用だけでなく入社後のオンボーディングやフォロー体制づくりにも知見があります。適切な採用プロセス設計や、候補者への情報提供が整うことで、入社後のギャップを減らすことができ、定着率の向上にもつながります。
最適な採用手法を導入できるようになる
RPO業者は、多数の採用案件を通じて蓄積したデータや最新のトレンドを把握しています。自社の採用課題に応じた最適な媒体選定、スカウト戦略、プロセス設計を提案してくれるのが強みです。
「いつも同じ方法でうまくいかない」と悩む企業にとって、有効な打開策となるでしょう。
採用代行を導入するメリットとは?コスト削減・質向上を両立する方法
採用代行を導入するデメリット4つ
採用代行(RPO)は多くのメリットがありますが、すべての企業にとって万能というわけではありません。導入前には、以下のようなデメリットやリスクについてもしっかり理解しておくことが重要です。
- 社内に採用ノウハウが蓄積されにくくなる
- 採用した人物像が期待とズレる可能性がある
- 連携不足で情報共有がスムーズにいかないことがある
- 委託範囲が広がると費用が想定より増える場合がある
社内に採用ノウハウが蓄積されにくくなる
採用業務を外部に依頼することで、社内の採用担当者が経験を積む機会が減る可能性があります。特に中長期的に見たときに、戦略的な採用スキルが育たないリスクがあるため、一定の情報共有や巻き込みが必要です。
「すべてを丸投げ」にせず、内製と外注のバランスを取ることがポイントです。
採用した人物像が期待とズレる可能性がある
委託先と自社で「求める人物像」の認識にズレがあると、採用した人材が思っていたものと違うという事態になりかねません。
このリスクは、初期の要件定義が曖昧な場合や、十分な情報共有ができていない場合に高まります。求める人物像や採用基準を明文化し、RPO業者と定期的に認識をすり合わせることが重要です。
連携不足で情報共有がスムーズにいかないことがある
業務を外部に委託する以上、連携の仕組みや情報の受け渡しがスムーズでないと、採用活動が停滞するリスクがあります。例えば、面接日程の伝達ミスや、応募者対応の遅延などです。
Slackやチャットツール、ATSなどを活用し、リアルタイムで情報を共有できる体制を整えることが欠かせません。
委託範囲が広がると費用が想定より増える場合がある
「最初は部分的にお願いするつもりだったが、途中で依頼範囲が拡大し、結果的にコストがかさんでしまった」というケースは珍しくありません。
見積書の確認時には、オプション業務や追加対応にかかる費用が明確に記載されているかを必ずチェックするようにしましょう。
採用代行(RPO)を選ぶ際の7つの判断基準
採用代行(RPO)は、単に「採用業務を外注するサービス」ではなく、自社の採用戦略を支えるパートナーとしての選定が求められます。
そのため、価格や実績といった表面的な条件だけでなく、「どのように伴走してくれるか」「自社の採用体制や文化にフィットするか」という観点で見極めることが重要です。
- 実績の適合性
- 立ち上がりまでのスピード感
- 採用代行側の担当者の質の見極め
- 品質担保の説明責任
- ナレッジが社内に蓄積される設計か
- 情報共有や連携体制が整っているか
- 自社体制に適したサービス設計(BPO型/コンサル型)
それぞれの判断基準について詳しく解説します。
実績の適合性
採用代行会社が、自社の業界や職種、採用ターゲットに合った支援実績を持っているかどうかは、サービスを選定する上で非常に重要な判断材料です。とくに専門性が求められる業界や、採用難易度の高い職種を扱う場合、過去に似た企業・職種をどのように支援してきたかを確認することで、再現性のある成果が期待できるかどうかを見極めることができます。
RPOの提案内容と、自社の採用方針や課題感がしっかり噛み合うかを、初期の打ち合わせ段階で精査しましょう。
立ち上がりまでのスピード感
RPOの立ち上がりスピードは、単に「速いかどうか」ではなく、自社の体制やスケジュールに合致しているかが重要です。たとえば、採用予算や組織承認が通るタイミング、あるいは選考フローの整備状況によって、運用開始時期は企業ごとに異なります。
そのため、契約から実運用までのリードタイムが明確であり、過去に類似ケースでどの程度の準備期間を要したかなどを開示してもらうことで、自社にとって無理のない導入スケジュールが組めるかを判断しましょう。
採用代行側の担当者の質の見極め
採用代行を選ぶ際は、企業ブランドよりも実際にプロジェクトを担当する担当者の力量を重視すべきです。
商談時にはベテランが提案しても、契約後は経験の浅いメンバーに引き継がれるケースも多く、成果は「誰が実務を担うか」で大きく変わります。したがって、契約前に実際の担当予定者と面談し、経歴・実績・判断力を確認することが欠かせません。
また近年では、業務委託やフリーランスを活用するRPOも増えていますが、稼働の安定性や責任範囲が不明確なケースもあります。担当者のスキルや稼働状況を見極めずに依頼すると、品質が属人化し、成果がばらつくリスクがあります。
品質担保の説明責任
業務の進行や成果について「なぜこうなったか」を論理的に説明できる体制があるかどうかも、信頼できるRPO会社を選ぶ上で欠かせません。目標となるKPIがどのように設定され、進捗に対してどんな仮説と改善案を提示できるのか。また、問題が発生した際に原因分析と対応策を適切に説明できるか。
こうした姿勢は、単なる作業代行ではなく、パートナーとして責任ある運用を行っているかどうかの重要な見極めポイントとなります。
ナレッジが社内に蓄積される設計か
RPO導入において陥りやすい課題の一つが、採用ノウハウが外部パートナーに偏在し、社内に何も残らない状態になってしまうことです。継続的な成長を目指す企業にとっては、ナレッジを社内に残す設計がされているかが非常に重要です。
たとえば、スカウトテンプレートの共有、週次レポートによる学習の可視化、社内勉強会などを通じて、運用に関わるメンバーが知見を吸収できる仕組みが整っているかを確認しましょう。
情報共有や連携体制が整っているか
RPOを活用する上で、情報の透明性とリアルタイム性は成果に直結します。人事・事業部・RPO会社の三者がスムーズに連携できる体制があるか、確認が必要です。たとえば、定例会議の実施頻度や内容、チャットツールやオンライン管理ツールでの即時連携が可能か、施策や進捗の可視化が十分に行われているかといった点が挙げられます。こうした情報共有体制が整っていることで、スピーディかつ柔軟な対応が実現し、RPOの真価が最大限に発揮されます。
自社体制に適したサービス設計(BPO型/コンサル型)
採用代行を選定する際は、「なぜ外注するのか」「どの業務を外に出すのか」を明確にすることが何より重要です。
例えば、日程調整や応募管理といった事務的なプロセスのように、人事が介入する余地が少ない業務であれば、BPO型(オペレーション型)の採用代行が有効です。
社内に採用戦略を担う人員やノウハウが十分にあり、「業務の住み分けを明確にし、非生産的な労働集約業務を外部に任せて、社員をより高付加価値な活動に集中させる」という方針を取る大企業では、このモデルが適用されることが多いです。
一方で、スカウト運用やエージェントコントロールなど、集客的な要素を含む業務をアウトソースする場合は、コンサルティング型(ソリューション型)を選ぶべきです。
「コンサルティングや戦略設計は自社で考えている」と言う企業であっても、実際にはターゲット設定や要件定義を正確に行うには、業界知見やデータの裏付けが必要になります。
そのため、サービスを選定する際には、サービス設計の中にどれだけコンサルティング要素が組み込まれているかを確認することが欠かせません。これは見積書や提案書の内容、あるいは担当者との初回面談で判断できます。
導入前に検討すべき落とし穴
RPO(採用代行)を導入した企業の中には、期待していた効果が得られず、むしろ課題が増えたと感じるケースも存在します。
- 業者リプレイスが頻発する
- BPO想定でも、業界知見がないとミスマッチが頻発してしまう
- 初期は丁寧でも、改善提案が止まってしまう
それぞれの落とし穴について詳しく説明します。
業者リプレイスが頻発する
採用代行の導入後に、「なんとなく合わない」「期待と違った」として、短期間で業者を変えるケースが後を絶ちません。これは、依頼前に業者の得意領域や体制、運用のクセを十分に理解せず、表面的な料金・対応範囲のみで判断したことが原因になっていることが多いです。
たとえば、スカウトに強いRPOを選んだのに、実際には媒体運用中心の支援しかされず、母集団形成の成果が出なかったというケースなどが典型です。パートナー選びの段階で、「実際の担当者がどこまで自社理解を深めているか」まで含めて見極めることが不可欠です。
BPO想定でも、業界知見がないとミスマッチが頻発してしまう
採用業務のBPO(業務プロセスアウトソーシング)を目的に依頼したものの、ターゲットから大きく外れたスカウトメールが大量に送られたり、書類選考の目線がずれていたりするなど、採用精度がむしろ悪化する事例もあります。
これは、RPO側に「業界構造」「職種特性」「求職者傾向」などの知見がなく、表層的な要件だけで動いてしまうことで起こります。BPOであっても、単なる作業代行ではなく、業界理解と採用感覚が求められる領域であることを前提に選定・指示設計することが大切です。
初期は丁寧でも、改善提案が止まってしまう
導入初期はレスポンスも早く、レポートや提案も充実していたのに、数ヶ月後には形骸化してしまうという声も少なくありません。これはRPO側が「立ち上げ支援」は得意でも、「継続改善」や「深掘り提案」に対する仕組みやカルチャーを持っていない場合に発生しやすい傾向です。
成果が安定していないフェーズほど、仮説更新や振り返り、現場からのフィードバックを元にした提案が重要になります。導入時に「改善提案をどのように行うか」「仮説更新の頻度やフォーマット」を明示できるかも、RPOの力量を測る一つのポイントです。
【4ステップ】採用代行サービス導入時の流れ
採用代行(RPO)を初めて導入する場合、「具体的にどう進めればいいのか?」と戸惑う担当者も多いでしょう。ここでは、導入時の一般的な流れを4ステップに分けてご紹介します。
- 採用課題を整理して、委託範囲とKPIを決める
- 採用代行会社を選定し、契約と打ち合わせを行う
- 採用フローを整え、実務を開始する
- 進捗を確認し、改善を重ねる
それぞれについて詳しく説明します。
採用課題を整理して、委託範囲とKPIを決める
まずは社内で「何が採用上の課題なのか」を明確にし、それを解決するためにどの業務を外注するか(委託範囲)を決めます。
あわせて、採用成功の判断軸となるKPI(例:応募数、面接設定率、採用数など)も設定しましょう。
初期設計を丁寧に行うことで、ミスマッチを防ぎ、効果的な運用が可能になります。
採用代行会社を選定し、契約と打ち合わせを行う
委託内容とKPIが決まったら、条件に合うRPO会社を選び契約します。契約後のキックオフミーティングでは、採用ターゲットや人物像を共有し、運用フローや使用ツール、報告の頻度や方法についてすり合わせを行います。
採用フローを整え、実務を開始する
実務が始まると、求人原稿の作成・媒体運用・応募者管理・日程調整など、日々の業務がRPO業者主導で進行します。
企業側は、重要な意思決定や最終面接、報告の確認に集中できます。
進行中は必要に応じてミーティングやチャットで調整を行い、細かなギャップも逐次解消していきます。
進捗を確認し、改善を重ねる
週次・月次などでレポートを受け取り、応募数、選考通過率、採用数などの進捗を確認します。
目標未達成の場合は、母集団形成の手法を変えたり、スクリーニング基準を調整したりと、改善サイクル(PDCA)を回すことが非常に重要です。
社内体制づくりの成功ポイント
RPO(採用代行)を導入しても、社内の連携体制が整っていなければ成果は最大化されません。
特に、人事・事業部・経営層の三者が同じ方向を向き、採用を「全社で取り組むテーマ」として推進する体制が欠かせません。
ここでは、RPOを効果的に活用するための社内体制づくりの成功ポイントを整理します。
- 事業部の採用リテラシー向上
- トップダウンによる人事×事業の協働体制づくり
- RPOへの任せっぱなし禁止
それぞれについて詳しく説明します。
事業部の採用リテラシー向上
採用代行(RPO)を導入しても、成果を大きく左右するのは現場=事業部の採用リテラシーです。
実際に求める人物像や業務内容を最も理解しているのは事業部であり、彼らの協力なしに精度の高い要件定義や面接評価を行うことはできません。
しかし現実には、「採用は人事の仕事」と線を引き、事業部が採用に無関心なままになっているケースも少なくありません。結果として、面接現場では適切な評価やクロージングが行われないケースがあります。
成功している企業では、面接や候補者対応に関するトレーニングを行い、事業部が採用活動を「自分たちの成果創出プロセスの一部」として捉える文化を育てています。
トップダウンによる人事×事業の協働体制づくり
RPOを導入しても、成果を最大化するには人事と事業部の協働が不可欠です。
そのためには、単なる情報共有にとどまらず、経営や人事側がトップダウンで採用へのコミットを明確に示すことが重要です。
事業部は本来、自部門の売上やKPI達成が最優先事項であり、採用はインセンティブの外にある非業務と見なされがちです。 経営が採用を「経営課題」として位置づけ、各事業部に採用KPIを設定するなど、協力を制度として担保する必要があります。
その上で、人事・事業・RPOが週次・日次で情報共有を行い、リアルタイムで課題を修正する仕組みを構築しています。
RPOへの任せっぱなし禁止
RPOを導入したからといって、「あとは全部お任せで成果が出る」と考えるのは危険です。採用は企業の中核活動であり、どれだけ委託しても最終的な成果責任は発注側にあります。だからこそ、企業側も主体的に関わり続け、品質維持と改善に責任を持つ姿勢が欠かせません。
成果が上がらない時、RPOのせいにするのではなく、自社の体制・要件・連携フローに課題がないかを見直し、改善提案をRPOとともに議論する体制を構築することが重要です。また、選考の歩留まりや面接の質など、RPOの業務範囲外にあるプロセスにも積極的に目を向け、全体最適で改善を図る姿勢が求められます。
代行とはいえ、発注側関わり方のが採用成果を左右するという視点は常に持っておくべきです。
外部パートナー連携のポイント
RPO(採用代行)を導入しただけでは、採用成果は自動的に上がりません。
成果を最大化するには、外部パートナーとの連携をどれだけ“仕組み化”し、運用精度を高められるかが鍵となります。
ここでは、RPOやエージェントなど外部協力先と連携する際に押さえるべきポイントを整理します。
- 成果志向のKPI設計
- オンボーディングの徹底と要件の深掘り
- 改善提案を前提とした契約・運用
- ナレッジ共有と引き継ぎの仕組み化
- エージェント活用の最適化
各ポイントについて詳しく解説します。
成果志向のKPI設計
RPO導入の効果を最大限に引き出すには、「成果に直結するKPI」の設計と運用が不可欠です。応募数やスカウト数といった作業量の指標にとどまらず、スカウト返信率、面接到達率、内定までのリードタイムなど、候補者の行動や意思決定に基づくKPIへと転換することが求められます。
このようなKPI設計により、単に「やったかどうか」ではなく、「成果につながっているか」の視点でRPOの支援内容を可視化できます。また、進捗レビューの場では、KPIに基づいて仮説を立て、改善策を講じるというPDCAを回すことで、採用プロセスの質が着実に向上していきます。
RPOにもこの設計思想を共有し、単なる作業代行ではなく成果を共に作るパートナーとして位置づけることが、長期的な成果につながります。
オンボーディングの徹底と要件の深掘り
採用代行の成功を左右する初期フェーズが、「オンボーディングと業務要件のすり合わせ」です。この段階で表層的なヒアリングだけに留まってしまうと、ターゲットのズレや施策のミスマッチが発生しやすく、運用開始後の手戻りや成果低下につながります。
成功している企業は、RPOとの初期打ち合わせにおいて、ポジションの背景、予算感、業務ボリューム、組織の文化、必要な成果レベルまで丁寧に伝え、設計段階での精度を高めています。こうした要件の深掘りにより、RPO側も正確なターゲット設定や施策立案ができるようになり、スムーズな立ち上がりと成果創出が実現されます。
オンボーディングは「依頼のスタート」ではなく、「成果づくりの基礎工事」として、十分な時間とリソースをかけて丁寧に行うことがポイントです。
改善提案を前提とした契約・運用
RPOの導入を単なるアウトソースにとどめず、成果を最大化するには、「改善提案を受け入れる前提」で契約・運用設計を行うことが重要です。採用市場の変化や職種ごとの難易度の違いを踏まえれば、初期設計が常に最適であるとは限りません。だからこそ、運用中の振り返りと仮説のアップデートを継続的に実施する体制が求められます。
成功している企業では、週次や隔週で定例ミーティングを設け、KPI進捗に対する仮説・原因分析・改善案をRPOから引き出し、それを社内と協議しながら即時に反映させています。こうしたPDCAのスピードと質が、採用精度の差を生むのです。
また、契約書や業務範囲定義書に「定例振り返りの実施」や「改善提案の提示責任」などを明記することで、提案が止まらない運用を制度として担保することも可能です。
ナレッジ共有と引き継ぎの仕組み化
採用代行の運用が長期化する中でよく起こる問題のひとつが、「ブラックボックス化」です。RPOに任せた結果、どのような判断で何が行われているのかが社内から見えず、情報が属人化してしまうと、トラブル時や引き継ぎ時に大きなリスクとなります。
このリスクを回避するために重要なのが、「ナレッジの見える化」と「引き継ぎ設計の契約上の明記」です。たとえば、SlackやTeamsなどのチャットツールでの常時進捗報告、GoogleスプレッドシートやATS(採用管理システム)による応募者・選考ログの管理、そしてKPI推移の可視化など、情報を定量・定性の両面で整理しておく仕組みが求められます。
また、担当者変更や委託範囲の拡張に備えて、運用マニュアル・選考基準・コミュニケーション履歴の蓄積などを、あらかじめRPOに義務づける契約条項を設けておくことで、運用品質の継続と属人化リスクの低減が図れます。
エージェント活用の最適化
現在の転職市場では、人材紹介会社(エージェント)に依頼すれば自動的に候補者が集まる時代は終わりました。
多くの企業が同時にエージェントを利用しており、エージェント側も「売れる企業=候補者に人気のある企業」から優先的に紹介を行う構造に変化しています。
実際に成果を上げている企業は、エージェントを攻略すべきチャネルと捉え、構造的に理解・マネジメントしています。
たとえば、エージェントの構造やどのような集客経路を持っているのかを可視化し、自社の求人がその中でどれだけ優先的に扱われるかを把握することが重要です。
その上で、エージェント担当者に自社を魅力的に感じてもらえるよう、紹介用資料の整備や定例ミーティングでの情報共有、求人背景の丁寧な説明などを行うことで、紹介件数と候補者の質を安定的に確保できます。
当社に多い依頼内容
企業が採用代行(RPO)を活用する背景には、単なるリソース不足だけでなく、採用の専門性やスピード、精度を高めたいという多様なニーズがあります。
ここでは、実際に当社に寄せられる依頼の傾向を通じて、企業がどのような課題意識を持ってRPOを活用しているのかを整理します。
- IT・デジタル職の採用ノウハウがなく相談したい
- 採用目標が未達で、打ち手を相談したい
- 面接・調整業務が回らずリソースを補いたい
- 今の採用代行会社が機能していない
- 担当者が辞めて採用が止まりそう
それぞれの依頼内容について詳しく解説します。
IT・デジタル職の採用ノウハウがなく相談したい
昨今、デジタル人材の採用に取り組む企業が増える一方で、従来の職種とは異なるターゲティングやアプローチが求められるため、「自社にデジタル職の採用ノウハウがない」という課題を抱える企業は少なくありません。特に、日系大手や非IT系企業ではその傾向が強く、エンジニア、UI/UXデザイナー、プロダクトマネージャーといった職種に対して、どうアプローチすべきかという段階から相談が始まるケースが目立ちます。
こうした場合、採用代行会社に求められるのは単なる作業代行ではなく、デジタル職の母集団形成に必要なチャネル戦略や訴求設計まで含めた“専門性”の提供です。例えば「どの媒体が最適か」「どんな打ち出しで候補者の目に留まるか」などを相談され、そのまま運用設計〜スカウト文面作成〜配信代行まで支援する形が主流です。
このように、「自社に知見がないからこそ任せたい」という依頼は、今後もRPO活用の大きな需要源となるでしょう。
採用目標が未達で、打ち手を相談したい
「今期の採用目標が達成できる見込みが立たない」「媒体には出しているが応募が来ない」「選考途中の歩留まりが悪い」といった状況から、採用代行会社に打ち手の提案を求めるケースも数多くあります。特徴的なのは、こうした相談が単なる作業支援ではなく、採用課題を整理し、戦略を立て直すところから一緒に伴走してほしいという依頼になっている点です。
企業側からは、現状の採用数、KPI、チャネル構成、予算、運用体制などが丁寧に共有され、「この状態をどう打開すべきか」という問いが投げかけられます。RPO側には、課題分析と仮説構築の力が求められ、場合によってはチャネルの入れ替え、訴求軸の再設計、選考フローの見直しなど、上流から下流までを巻き込んだ提案が必要です。
特に、中途採用でスカウト型のアプローチが主流化する中、「待ち」の施策から「攻め」の施策への転換ができていない企業ほど、このような支援を強く求めています。
面接・調整業務が回らずリソースを補いたい
採用活動の現場で最も負担が大きいのが、「面接日程の調整や書類管理」、候補者とのやり取りといった実務フェーズです。特に、ポジション数が多い中途採用や新卒採用のピーク期などでは、社内の人員では到底捌ききれない状態に陥ることも珍しくありません。
このような状況下で多く寄せられるのが、「面接・調整業務のリソースを補ってほしい」という依頼です。実際、RPOへの相談の中でも非常に比率が高いのがこのフェーズであり、既に母集団が形成されている状態から、選考を滞りなく進めるためのバックオフィス機能として採用代行を活用するケースが急増しています。
たとえば、日程調整のスピードが遅れたことで候補者が辞退してしまう、書類選考の処理が滞って歩留まりが悪化するといった「惜しい離脱」を防ぐため、外部パートナーに即応性と正確性を求める企業が増えています。採用の質を担保するには、こうした運用部分こそが要となるため、RPOの現場対応力を見極めて依頼する企業が増えているのが実情です。
今の採用代行会社が機能していない
「スカウトの精度が低く、的外れな候補者ばかりが届く」「やり取りのレスポンスが遅く、選考スピードが落ちている」「提案がなく、ただの作業代行に終始している」──このような不満を理由に、「現在利用している採用代行会社からの乗り換え」を検討する相談が増えています。
RPO市場が拡大する一方で、提供されるサービスの品質や得意領域には大きな差があり、ミスマッチが生まれやすくなっているのが現状です。特に、専門職採用や中途即戦力採用など、母集団の獲得が難しい領域においては、業者側に十分な知見や戦略性がないと、成果に直結しないケースが多発しています。
このような背景から、「今のRPOに任せていたが成果が出ないので再検討したい」「他のRPOではどう対応できるのか比較したい」といった、見直し前提の相談が当社に寄せられることが多くなっています。乗り換えを成功させるには、単に不満を解消するだけでなく、自社にフィットする体制・担当・運用レベルを見極める視点が重要になります。
担当者が辞めて採用が止まりそう
採用担当者の急な退職や異動により、「選考プロセスや候補者対応が完全に止まってしまう」といった緊急対応ニーズも、当社に多く寄せられる依頼の一つです。特に、採用が経営課題に直結する状況下では、1〜2週間でも対応が遅れることで、重要な候補者を失ってしまうリスクがあります。
こうした場面では、「とりあえず採用代行で一時的にしのぎたい」という企業が少なくありません。しかし、単なる穴埋めではなく、すぐに業務を引き継ぎ、遅延なく進行させるための即戦力体制が求められます。実際の支援では、媒体運用・応募者対応・面接調整など、既存の採用業務を止めずにそのまま引き継ぐ形で対応するケースがほとんどです。
また、引き継ぎのないまま急に依頼が来る場合でも、過去の履歴や運用状況をヒアリング・整理したうえで、最低限の業務設計から入り直すこともあります。このような採用空白期間を作らないことが何より重要であり、特に採用活動がピークを迎える時期ほど、RPOによる即応性の高い支援が重宝されています。
AI普及に伴う今後の採用代行のあり方
AIや生成系ツールの進化は、採用の在り方そのものを根本から変えつつあります。
自動化や効率化が進む一方で、企業が求めるのは「単なる作業代行」ではなく、AIを活用しながら戦略的に採用成果を高める共創型パートナーとしてのRPOです。
ここでは、AI時代における採用代行の新たな方向性を整理します。
- AIが代替する領域と人間が担う領域について
- RPOが果たすべき「AI活用時代の新たな価値」
- AIを代替ではなく共創パートナーとして捉える
それぞれについて詳しく説明します。
AIが代替する領域と人間が担う領域について
採用業務の中でも、候補者データのスクリーニングやスカウト文面作成、日程調整といった定型的なオペレーション業務は、AIによって高精度かつ省力的に実行できる時代になりつつあります。今後は、RPOベンダーが担当してきた業務の一部がAIに置き換わり、採用担当者のリソース配分も大きく変化していくでしょう。
一方で、AIが苦手とするのは「企業文化の理解」や「候補者との信頼構築」といった人間的な領域です。
自社の事業特性や慣習に合わせたペルソナ設計、採用戦略の構築、そして候補者の意思決定を後押しするクロージングなどは、依然として人の感性と経験が必要とされます。AIが“情報”を処理する存在であるのに対し、人間は“意図”を設計する役割を担うのです。
RPOが果たすべき「AI活用時代の新たな価値」
AIの台頭によって、RPOの価値は「手を動かすこと」から「思考を動かすこと」へと再定義されつつあります。
単に業務を代行するのではなく、AIが生み出したデータや自動化基盤をもとに、採用戦略全体を最適化する伴走者として機能することが重要です。
AIが得意とする効率化領域にまで人手を投じてしまえば、コストばかりがかさみ、本来のRPOの価値を発揮できなくなります。
これからのRPOは、AIの力を活かしながら「戦略・分析・クロージング」という人間ならではの領域に集中する必要があります。
AIを代替ではなく共創パートナーとして捉える
AIの普及は、採用現場から単純作業を減らすだけではなく、人が本来向き合うべき創造的な仕事に集中できる環境を生み出します。
候補者にとって「この会社で働きたい」と思える体験を設計するのは、AIではなく人間の役割です。
AI時代のRPOに求められるのは、AIで省力化する採用代行ではなく、“AIを活用して人の価値を最大化する採用代行”。
効率化の先にある「人間らしい採用体験の質」をどう高めるかが、今後のRPOの進化を決定づけるポイントになるでしょう。
【事例】採用代行を活用して成功した企業
ここでは、当社(株式会社uloqo)が実際に支援した採用代行事例を2つご紹介します。
実際の企業がどのような課題を抱え、RPOを導入することでどのような成果を得たのかを具体的にご覧ください。
株式会社ロカリオ様
企業成長に伴い人材採用を加速する必要があったものの、ノウハウ不足や社内リソースの限界により採用活動が滞っていた株式会社ロカリオ様。
当社の支援を導入いただき、採用計画の設計から候補者対応まで幅広くサポートした結果、担当者がコア業務に集中できる体制が整い、採用人数の確保に成功しました。
引用元:)「導入事例|株式会社uloqo」
株式会社ウィークデー様
組織づくりの中で「採用や評価制度設計の実務経験が不足している」という課題を抱えていた株式会社ウィークデー様。
当社の採用代行サービスを導入いただき、採用戦略の立案からバックオフィス業務の幅広いサポートまでご提供しました。
現場との直接的なコミュニケーションを通じて、管理部門全体の体制強化を実現しています。
引用元:)「導入事例|株式会社uloqo」
採用代行についてよくある質問(FAQ)
採用代行についてよくある質問をまとめました。
中小企業でも利用できるの?
はい。採用専任者がいない中小企業やベンチャーでも、必要な範囲だけを外注することで効果的に活用できます。
RPOと人材紹介の違いは?
人材紹介は「人材の紹介」が主ですが、RPOは採用プロセス全体の設計や実行を担います。支援の範囲が広いのが特徴です。
依頼範囲は途中で変更できる?
多くの業者は柔軟に対応しています。必要に応じて範囲を増減できるプランがあるか事前に確認しましょう。
自社にノウハウが残らないのでは?
外注のしすぎで社内にノウハウが蓄積されにくい点は注意が必要です。情報共有や内製化の工夫が重要です。
面接だけでも外注できる?
可能です。説明会や一次面接など、一定のマニュアル対応が可能な工程は外注できることが多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事では、採用代行(RPO)の基本的な定義からサービスの種類、メリット・デメリット、費用体系や導入の流れまで幅広く解説しました。
採用代行は、企業の採用活動を効率化し、質を高めるための有効な手段であり、目的や課題に応じた使い分けが重要です。自社のリソース状況や採用目標をふまえて、適切なRPOの活用方法を検討しましょう。
本記事を参考に、自社に合った採用代行の導入検討がスムーズに進むことを願っています。
採用課題にお困りの方へ!uloqoにお任せください
▼サービスに関するお問い合わせはこちらから
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