採用代行とは、企業の採用業務を専門家に委託するサービスです。採用業務が多様化し、多くの時間を費やしている企業にとって、採用代行を利用することで効率と効果を向上させることが可能です。
本記事では、採用業務に課題を感じている企業担当者様向けに
・採用代行会社が行う具体的な業務内容
・2つの料金体系と必要な費用
・採用代行を活用するメリット・デメリット
・おすすめサービス5社の特徴
分かりやすく解説します。
採用代行はRPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれ、会社のニーズに応じて、採用業務の代行/支援サービスを行う人材サービスを指します。
採用代行サービスを行う企業は採用業務を委託され、企業が求める人材の採用を成功へと導くために活動します。
例えば、採用活動の多様化に対応が難しい企業、煩雑な採用業務に時間を浪費している企業は、採用業務を委託を行うことで採用の効率と効果を高めることが可能です。
採用代行市場は2022年の矢野経済研究所の調査によると、
「2021年度の採用アウトソーシング(RPO; Recruitment Process Outsourcing)市場規模(3市場計)は、前年度比15.0%増の628億円となった」
と報告されている。加えて、2022年度も市場規模は拡大するとされています。
注1:事業者売上高ベース
注2:本調査における採用アウトソーシング市場とは、採用アウトソーシング(RPO+MSP)、採用管理システム、採用関連アセスメントの主要3市場の合算値
引用元:「採用アウトソーシング市場に関する調査を実施(2022年)」株式会社矢野経済研究所
グラフはデータを元に自社で作成
市場規模拡大の背景には以下の原因が挙げられます。
・人口減少による人手不足
・採用ニーズの高まり
・採用サービスの多様化
上記の影響を受け、人材の採用難易度が非常に高くなり、大手各社でも、長年蓄積してきた独自の採用ノウハウが、採用を成功させる手段として通用しなくなっています。
そのため、採用の根幹となる「採用計画の立案」や「ほしい人材の要件定義」までを専門事業者へ外部委託する動きが進んでいます。
加えて、人材採用を経営上のテーマとして重要視し、経営戦略の一つとして積極的に投資をする企業も増加しており、採用ノウハウを持つ採用代行の活用の傾向が一層高まっています。
採用代行に依頼可能な業務内容は以下の通りです。
採用開始のタイミングで適切な採用計画・採用戦略を立てることで、優秀な人材の採用、入社後のミスマッチを防ぐことに繋がります。
採用代行会社の知見を元にして、採用のKPI(重要業績評価指標:業務のパフォーマンスを計測・監視するための指標)や採用基準・要件の設定を行います。
自社に適切な採用チャネルの選定を行い、企業の魅力をアピールする求人を作成します。採用代行サービスの効果測定なども利用して、目を引く求人を作成します。
オペレーティブな業務であり、採用代行の中で最も利用されているサービスです。代行サービスが異なる採用チャネルからの応募を一元管理が可能なデータベースに標準化することで、企業は候補者を1つ媒体で管理することが可能になります。
採用基準などで決められた条件を元に、応募者の書類選考(スクリーニング)を行います。応募人数が多い場合に工数が肥大化しやすく、採用代行会社を利用することで大幅に工数を削減可能です。
ダイレクトリクルーティングを実施する際のスカウトメールの作成や送付も委託することも可能です。
スカウトメールを作成・送信を行うことで、転職潜在層にもアプローチをかけて採用を加速させることができます。候補者数が多かったり、一人一人への対応が求められたりと、この業務は煩雑になりがちになる中、代行会社への依頼が可能です。
各選考の段階で行う日程調整業務を行います。メールや電話にて日程をくみ、当日の詳細についてメールや電話確認などの業務を依頼することで、自社での対応の工数を削減でき、選考プロセスもスムーズに行うことが可能です。
新卒採用や中途採用で行う会社説明会の代行も、採用代行サービスに依頼できます。会場の設営準備やイベントの告知だけでなく、会社説明会のスライドやプレゼンテーションの作成、案内告知、運営などの代行も可能です。
面接代行では、採用基準に則り、企業のニーズを把握した上で、代行会社が面接プロセスをカスタマイズしてくれます。
・採用担当者が少ない
・応募者数が大幅に増えている
・応募から採用までのリードタイムが長い
・面接官によって質に差が出ている
このような企業などにおすすめです。
内定者との内定後面談や書類手続きなどのサポートを委託することで、不安や選考プロセスでのタイムラグを減らし、内定辞退率を低下させることが可能です。
採用代行の委託に必要な費用について、以下の2点を解説します。
・2つの料金体系
・料金相場
採用代行に委託する際の料金体系は主に2つに分類されます。
・月額制
・従量課金制
月額制では、通常1ヶ月や3ヶ月といった一定の期間単位での契約を行い、月ごとに支払いを行います。サービスによっては、初期費用が必要なケースがあります。
サービスの特徴として、業務量に関わらず、決まった作業項目を委託することが可能です。また、採用の進捗に応じて、オプションを追加、プラン内容の変更等も行えます。
長期的な目線でのノウハウやスキルを期待できるため、コア業務を委託する際に、月額制のサービスは有効です。
従量課金制では、依頼した業務量に応じて料金を支払います。月額制と比較して最低契約期間が短いことや初期費用が必要ではないケースがほとんどです。
サービスの特徴として、必要な業務のみをピンポイントに委託可能で、余分なコストが発生しづらいことが挙げられます。
短期的に工数を要し、特定の作業の負担を軽減したい場合などの、ノンコア業務を委託する際に従量課金制のサービスは有効です。
料金相場は月額制と従量課金制で大きく異なることはありません。しかし、採用規模、採用職種、委託する業務により料金が大きく変動するため、詳しく解説します。
求人広告の掲載数や管理内容によっても異なりますが、経験者採用と比較して代行サービス自体は安価になる傾向があります。
新卒などと比べると人材の市場価値が高まるため、利用に必要な費用は上昇します。
エンジニアやマネージャ職等の求人倍率が高い人材を採用する場合には、採用戦略の作成、採用チャネルの拡大やスカウトメールのパーソナライズなど必要な業務が圧倒的に増加します。それに比例して、費用も増加するでしょう。
スカウトの配信や日程調整などのノンコア業務は、オペレーションに特化しており、採用代行会社の人材の質に左右されづらいため費用が低く設定されています。
採用代行におけるメリット・デメリットについて解説していきます。
採用代行を活用するメリットについて以下の3点が挙げられます。
・採用のプロによる採用戦略の適正化ができる
・工数の削減が可能である
・採用担当者が不在でも採用が可能である
採用で最もネックになる部分にコストの適正化と適切な採用戦略による母集団の形成が挙げられます。自社のみで問題を解決することは困難ですが、実績の伴ったノウハウを持つ採用代行サービスの活用で
・採用戦略などの採用の根幹に関わるノウハウやスキルを活用したコンサルティング
・求人媒体・人材紹介会社等のパフォーマンスチェック
が期待できます。
採用戦略が最適化されており、母集団形成に問題はないが、管理に必要な工数が不足している場合には、採用代行サービスを活用することが非常に有効的です。
ノンコア業務に関しては自社への理解が必要ではないため、採用代行を利用するコストは新たな採用担当者の雇用よりも少ないコストで済む場合がほとんどです。
起業したてのベンチャーや専任の採用担当者を設置していない中小企業なども多いことでしょう。そういって企業でも採用代行サービスを活用することで高いレベルで採用活動を行うことが可能です。
長期的な視点では採用担当者が不在なことや採用に関するノウハウが蓄積しないことはデメリットですが、本業が成長中で人手が足りない等の状況を打破するには非常に利用価値が高いです。
採用代行を利用するデメリットは3点挙げられます。
・サービスの費用対効果を評価しづらい
・社内にノウハウが蓄積されにくい
・コミュニケーション不足によるミスマッチが起こりやすい
採用代行の料金体系は違いが少ないです。しかし、業務範囲は採用代行サービス提供会社により様々であり、見積金額や請求金額を一見しただけでは比較が困難です。
加えて、利用開始後の問題として、採用計画の一部が未達成である場合や、契約の前半で目標人数を確保した場合など、採用代行会社によって適切な運用が行われたかの評価が難しいです。
このため、一定期間経過ごとにKPI等を確認することが必要です。一定期間、目標に到達していない場合は採用代行を利用する必要性または他社の利用を検討しましょう。
業務委託の場合、採用活動に関連するノウハウが自社に蓄積されづらいです。採用担当者のスキルアップ機会が減るとも考えられ、育成が進まない可能性があります。
ここでは、支援期間中に支援内容などのノウハウをドキュメントにまとめるなど、積極的に採用ノウハウについて獲得する姿勢が重要になります。
特に書類選考や面接など、選考で重要な役割を果たす業務を委託する場合は、採用基準の共有や詳細なコミュニケーションを行い、お互いの認識を一致させることが不可欠です。
また、情報タイムラグや共有漏れが原因で認識のズレが起きる可能性もあります。どれくらいの頻度でどんな情報を連携させるかのフローを確立しておくことを推奨します。
採用代行を利用する際に注意すべきポイントを6つ解説します。
採用代行にすべての採用業務を委託することも可能ですが、コア業務を委託するほど費用が高額になります。
そのため、採用の何に課題を持ち、採用を成功させるために何を行うべきかを明確にしましょう。目的が明確になることで、自社で実施可能な業務、任せる業務の区別することで、コストを削減することが可能です。
採用代行のサービスによっては、ノンコア業務に特化しているサービスやコア業務に特化しているサービスなど様々に存在します。自社がノンコア業務とコア業務の両方を委託したい場合であっても、業務対応をしていなければ、利用することは不可能です。
また、同じノンコア業務の中でも企業により対応範囲が異なる場合があります。そのため、契約する場合には、事前に詳細に業務範囲を明確にし、業者と相互に確認を取っておきましょう。
採用のコア業務は採用実績があることでノウハウが蓄積されます。そのため、業種・職種の実績が多いほど自社に適していると言えるでしょう。
資料請求の段階で実績を確認するまたは、お問い合わせの際に同様の案件の例を示してもらうことで支援実績について確認することが重要です。
進捗報告や状況の共有方法、契約書の締結方法、各業務の対応方法についてなど、採用代行サービスと自社のルールが統一されることで、採用プロセスのリードタイムを削減することが可能です。
加えて、採用条件の認識にずれが生じたりし、トラブルになるケースもあるため、ルールの確認は重要です。
採用代行サービスはコア業務を委託する場合に最低の契約期間が長く、高額になる傾向があります。その上、サービスの質は、コンサルタントの経歴や経験に一定の依存します。
費用対効果を良くするためにも、アサインを想定しているコンサルタントとの意思疎通具合を把握し、不安を感じる場合には別のサービスを利用するようにしましょう。
採用代行に委託する費用と受けられるサービスの質が釣り合うように採用代行会社を選定することが重要です。
事業計画は中長期の視点で策定している一方で、人材計画については充分に検討されていない事例が多く見受けられます。
採用活動の工数削減により、目先の事業拡大に焦点を当てがちになってしまいます。事業計画と同様に、効率的な組織運営のための体制を考慮し、どの順番でどの人材を採用するかを、事業側や経営側と採用代行会社で事前に共有することが重要です。
おすすめ採用代行サービス5選を紹介します。
引用元:https://digireka-hr.jp/enjinia_saiyo_lp/
引用元:https://hr-compass.jp/lp/lp04/
引用元:https://www.triumph98.com/
引用元:https://ulforce-one.co.jp/
採用代行は、企業の採用活動を支援し、効率化するための強力なサービスです。採用計画の策定から内定後のフォローまで、幅広い業務を代行することで、企業はコア業務に集中でき、質の高い採用活動が可能になります。採用代行を利用する際は、目的を明確にし、適切なサービスを選択することが重要です。
本記事が採用活動の一助になれば幸いです。