こうしたオペレーション業務を外部へ委託するサービスが「採用事務代行」です。採用担当者の工数を短期間で減らせるため、現在でも有効な選択肢の一つです。
一方で、近年は生成AIやATSの自動化機能、API連携、RPA、日程調整ツールなどが急速に進化しています。そのため、採用事務の効率化を考える際に「どの代行会社へ頼むか」だけを比較するのは十分ではありません。
アウトソーシング、AI・システムによる自動化、採用管理ツール、派遣・アルバイトなどを横断して比較し、「どの業務を人が行い、どの業務を自動化するのか」を設計することが重要です。
本記事では、採用事務代行の基本から、依頼できる業務、費用相場、近年のトレンド、おすすめサービス、導入前に確認すべきポイントまで詳しく解説します。
採用事務代行とは?
採用事務代行とは、採用活動で発生する定型的なオペレーション業務を外部の専門会社へ委託するサービスです。一般的には採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)の一部として提供されています。
代表的な業務は、求人票の登録・更新、応募者対応、面接日程調整、ATSへの情報登録、エージェント対応、採用データの集計などです。
採用担当者がこうした事務作業から解放されることで、採用戦略の立案、面接、候補者とのコミュニケーション、クロージングなど、より重要度の高い業務へ時間を使えるようになります。
採用代行(RPO)との違い
採用事務代行と採用代行(RPO)は混同されがちですが、基本的には支援範囲が異なります。採用事務代行はオペレーション業務が中心なのに対し、RPOでは採用計画、チャネル選定、スカウト、エージェント運用、面接・クロージング改善、データ分析などまで含む場合があります。
| 区分 | 主な支援範囲 | 主な目的 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 採用事務代行 | 求人票更新、応募者対応、面接調整、ATS更新など | 採用担当者の工数削減 | 事務作業を切り出したい企業 |
| 採用代行(RPO) | 採用戦略、媒体・エージェント運用、スカウト、面接支援など | 採用成果そのものの改善 | 採用活動全体を改善したい企業 |
採用事務代行で依頼できる主な業務
採用事務代行では、企業の採用フローに応じてさまざまな業務を切り出せます。主な業務は以下のとおりです。
求人媒体の管理
求人媒体への求人掲載、公開・停止、掲載内容の更新、募集状況の確認などを代行します。複数媒体を利用している企業では、掲載情報を最新の状態に保つだけでも一定の工数が発生します。
求人票の作成・更新
求人票の新規作成、既存求人の修正、募集要件の変更反映などを行います。単純な登録だけでなく、応募状況や採用ターゲットを踏まえて内容を改善する支援まで依頼できる会社もあります。
応募者対応
応募受付、書類受領連絡、選考案内、問い合わせ対応などを行います。候補者への連絡が遅れると辞退につながる可能性があるため、一定の返信スピードを維持することが重要です。
面接日程調整
候補者と面接官双方のスケジュールを確認し、面接日時を確定します。採用人数が多い企業や複数の面接官が関わる企業では、調整業務だけでも大きな負担になります。
エージェント対応
人材紹介会社への求人共有、推薦依頼、選考結果の連絡、候補者情報の確認などを代行します。事務連絡を一元化することで、社内担当者の負担を減らせます。
ATS(採用管理システム)の運用
候補者情報の登録、ステータス更新、選考結果入力、重複チェック、データ整備などを行います。採用事務の効率化では、ATSを正しく運用できているかどうかも重要なポイントです。
採用データの集計・レポート作成
応募数、書類通過数、面接数、内定数などを集計し、採用状況を可視化します。単なる集計ではなく、媒体別・求人別・経路別のパフォーマンスを確認できる状態にすると、採用施策の改善にも活用できます。
近年、採用事務代行の考え方が変わっている理由
一昔前までは、採用事務の負担が増えた場合に「採用代行会社へ人手を外注する」という方法が一般的でした。社内で処理できない業務を外部の担当者へ移管することで、即座にリソースを補えるためです。
しかし現在は、AIや採用管理システムの進化によって、採用事務の一部をそもそも人が処理しなくてもよい環境が整いつつあります。
そのため、採用事務代行を検討する企業は、「人手を追加するか」だけではなく、「業務そのものを減らせないか」という視点を持つ必要があります。
生成AIによる定型業務の効率化
求人票の初稿作成、候補者向けメールの下書き、面接評価コメントの整理、レポートの要約など、文章作成を伴う定型業務は生成AIで効率化しやすい領域です。
ただし、AIへ任せる範囲や確認ルールを定めずに利用すると、誤送信や情報の誤りにつながる可能性があります。業務フローと確認責任を含めて設計することが重要です。
ATS・日程調整ツールの高機能化
ATSによっては、候補者への自動メール送信、ステータス変更、面接官への通知、日程調整、レポート出力などの機能を備えています。
採用事務代行へ依頼する前に、現在利用しているATSの機能を十分に使えているかを確認するだけでも、外注する業務量を減らせるケースがあります。
API・RPA・ノーコード連携による自動化
利用中のシステムでAPIが公開されている場合、ATS、カレンダー、チャット、表計算ツールなどを連携し、情報転記や通知などを自動化できる可能性があります。
API連携が難しい場合でも、RPAやノーコードツールを活用して定型作業を削減できるケースがあります。重要なのは、特定のツールありきではなく、現行業務を棚卸しした上で適切な方法を選ぶことです。
採用事務を効率化する4つの選択肢
採用事務を効率化する方法は、採用事務代行だけではありません。主に以下の4つを比較すると、自社に合った方法を判断しやすくなります。
| 方法 | 即効性 | 初期負担 | 継続コスト | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 採用事務代行・RPO | 高い | 小さい | 発生し続ける | すぐに業務を外へ出したい |
| ATS・採用管理ツール | 中程度 | 設定が必要 | 比較的抑えやすい | 定型業務を標準化したい |
| AI・API・RPA | 中程度 | 設計・実装が必要 | 自動化範囲次第 | 業務そのものを減らしたい |
| 派遣・アルバイト等 | 高い | 採用・教育が必要 | 人件費として発生 | マニュアル化された作業量が多い |
1. 採用事務代行・RPO
最も即効性が高い方法です。既存業務をそのまま外部へ移管しやすいため、「担当者が退職した」「採用数が急増した」「短期間で工数を減らしたい」といったケースに向いています。
一方、人が作業をするモデルでは、委託を続ける限り外注費も発生し続けます。
2. ATS・採用管理ツール
自社の採用フローがある程度標準化されている場合は、ATSの機能を活用することで候補者管理や連絡業務を効率化できます。現在利用しているシステムの設定を見直すだけで改善できる場合もあります。
3. AI・API・RPAによる自動化
定型作業を自動化できれば、中長期的には人が処理する業務量そのものを減らせます。特に、複数システム間の転記、レポート作成、文章生成、通知などは自動化の対象になりやすい業務です。
4. 派遣・アルバイト・業務委託
大量の定型作業があり、社内にマニュアルや管理者が存在する場合は、派遣社員やアルバイト、業務委託を活用する方法もあります。
近年は、オペレーション代行だけでも比較的高額な料金設定となる採用代行サービスもあります。単純作業が中心であれば、派遣などを含めて総コストを比較することが重要です。
採用事務代行を利用する前に「どこまで人がやるべきか」を整理する
採用事務を効率化する際は、「内製か外注か」の二択にしないことが重要です。まず現在の業務を棚卸しし、以下の4つに分類すると判断しやすくなります。
- 人が判断する必要がある業務
- AI・システムで自動化できる業務
- 低コストなリソースへ移管できる定型業務
- 採用の専門性が必要で、外部の専門会社へ任せるべき業務
この整理をしたうえで、必要な部分だけをアウトソーシングする方が、コストと品質のバランスを取りやすくなります。
採用事務代行のおすすめサービス3選
ここでは、採用事務を外部へ委託したい企業が比較候補に入れやすいサービスを紹介します。サービスごとに得意領域が異なるため、単純な価格だけではなく、自社が解決したい課題との相性で判断しましょう。
1. 株式会社uloqo
株式会社uloqoは、採用事務のオペレーション代行だけでなく、AI・ATS・業務設計を含めて採用業務そのものを効率化したい企業に向いているサービスです。
特徴は、「まず必要な業務を巻き取りながら、将来的には人が処理する作業を減らす」という考え方で支援できる点です。
- 採用事務の現状把握・業務棚卸し
- 求人票更新、応募者対応、日程調整、ATS運用などのオペレーション代行
- AIで効率化できる業務の特定
- 既存ATS・各種ツールを前提とした要件整理
- AI・API・RPA等を活用した効率化設計
- マニュアル・テンプレート・運用ルールの策定
- 内製化に向けた業務フローの整備
- 設計だけでなく、実際の運用への実装
単に「何件の日程調整を代行するか」ではなく、「そもそもどこまで人が日程調整を行う必要があるのか」というところから整理できる点が特徴です。
また、単純なオペレーション代行に高額な費用を払い続けることは、AIや自動化が進む現在の採用環境に合わないという考え方を前提に、必要な支援範囲を設計します。
オペレーション領域については、単純作業に過度な費用をかけるべきではないという考え方から、必要以上に高額な価格設定とせず、費用を抑えた形で提供することを重視しています。その一方で、単なる安価な作業代行ではなく、採用実務を理解した担当者が運用するため、短期的な業務移管と中長期的な効率化を両立したい企業に向いています。
向いている企業:
- まずは採用事務をすぐに外注したい
- 将来的には外注費を減らしたい
- AIを使いたいが、どの業務から着手すべきかわからない
- ATSを導入しているが十分に活用できていない
- 採用業務を標準化し、最終的には内製化したい
2. 株式会社ネオキャリア
採用オペレーションを幅広く外部へ委託したい企業の比較候補です。応募者対応、日程調整、求人媒体の運用など、採用事務をまとめて外部へ移管したい場合に検討しやすいサービスです。
特に、採用人数が多い企業や、一定量の採用オペレーションを安定して処理したい企業では、比較候補に入れておくとよいでしょう。
向いている企業:
- 一定量以上の採用オペレーションをまとめて委託したい
- 採用事務を安定して処理できる外部体制を作りたい
- 複数の採用業務を一括して相談したい
3.マルゴト株式会社「まるごと人事」
採用担当者が不足しており、採用実務を幅広く外部へ移管したい企業の比較候補です。採用チームの一部を外部に持つような形で、採用業務をまとめて委託したい場合に検討しやすいサービスです。
単一の事務作業だけを切り出すというより、採用実務を一定範囲まとめて支援してもらいたい企業に向いています。
向いている企業:
- 採用担当者そのものが不足している
- 採用実務を一定範囲まとめて外部へ任せたい
- スタートアップ・成長企業などで採用体制を短期間で補強したい
おすすめ3社の比較
| サービス | オペレーション代行 | AI・自動化設計 | 内製化支援 | おすすめのケース |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社uloqo | ○ | ◎ | ◎ | 代行と同時に業務効率化・AI化まで進めたい |
| 株式会社ネオキャリア | ◎ | △ | △ | 大量・定型の採用事務を安定して外注したい |
| マルゴト株式会社「まるごと人事」 | ◎ | △ | ○ | 採用担当者不足を幅広く補いたい |
※上記は本記事における比較軸の整理です。各社の最新の提供範囲・料金・契約条件は、問い合わせ時に確認してください。
採用事務代行の費用相場
採用事務代行の費用は、依頼する業務範囲、対応件数、担当者の専門性、運用時間などによって異なります。一般的には月額固定型と従量課金型があります。
事務業務のみであれば月額10万~50万円程度、幅広い業務を依頼する場合は50万円以上になるケースもあります。
| 業務内容 | 費用相場の目安 |
|---|---|
| 求人媒体の管理 | 月額5万~20万円 |
| 求人票の作成・改善 | 1求人あたり2万~10万円 |
| 応募者対応 | 1件500~2,000円程度 |
| 面接日程調整 | 1件500~2,000円程度 |
| エージェント対応 | 月額5万~15万円 |
| ATS運用 | 月額5万~20万円 |
| 採用データ集計・レポート | 月額3万~10万円 |
ただし、現在は「相場より安いか・高いか」だけで判断するべきではありません。例えば月額30万円を単純な日程調整やATS更新だけに支払うのであれば、ATSの機能追加や自動化、派遣社員の活用などの方が合理的な可能性があります。
採用事務代行を比較するときは、「何時間作業してもらえるか」ではなく、「最終的に人が処理する業務量をどこまで減らせるか」という視点を持つことが重要です。
採用事務代行サービスを選ぶときの5つのポイント
1. 依頼したい業務に対応しているか
まず、自社が外注したい業務を具体化しましょう。日程調整だけなのか、応募者対応やATS運用まで含むのかによって、適切な会社は異なります。
2. 作業単価だけでなく、業務削減まで提案できるか
AIや自動化が進む現在では、単に人を増やすだけではなく、「この作業をなくせないか」まで提案できる会社の方が中長期的な費用対効果を高めやすくなります。
3. ATS・AI・システムへの理解があるか
利用中のATSや周辺ツールを理解した上で、運用改善や自動化を提案できるか確認しましょう。ツールを追加するだけではなく、既存環境を活かせるかも重要です。
4. 将来的な内製化を支援できるか
一時的なリソース不足を補うだけなのか、将来的に自社へ業務を戻すのかによって必要な支援は変わります。内製化を目指す場合は、マニュアル、業務フロー、テンプレート、運用ルールなどが自社に残るか確認しましょう。
5. 派遣・アルバイトと比較したときに合理的か
業務の大部分が定型作業であれば、高単価な採用代行会社に委託することが最適とは限りません。派遣、アルバイト、業務委託、自動化なども含めて比較することが重要です。
採用事務代行が向いている企業・向いていない企業
向いている企業
- 採用数が急増し、すぐにリソースを補いたい
- 採用担当者がコア業務に集中できていない
- 担当者の退職・休職などで一時的に体制が不足している
- 複数媒体・多数の候補者を扱っており、事務負担が大きい
- 業務を外注しながら標準化・効率化も進めたい
別の方法も検討した方がよい企業
- 業務量が少なく、ATSの設定変更だけで解決できそう
- 単純な定型作業が中心で、社内に管理者とマニュアルがある
- 長期間同じ作業を人手で外注する予定で、費用負担が大きい
- 自動化できる業務が多いにもかかわらず、業務設計を見直していない
採用事務代行を導入する流れ
STEP1:現在の採用事務を棚卸しする
求人票更新、候補者対応、日程調整、ATS更新など、誰が・何に・どれくらい時間を使っているかを整理します。
STEP2:人・AI・ツールの役割分担を決める
すべてを外注するのではなく、人が判断する業務、自動化できる業務、外部へ移管する業務を切り分けます。
STEP3:代行会社へ相談・見積もりを依頼する
業務量、利用ツール、採用人数、運用ルールなどを共有し、支援範囲と費用を確認します。
STEP4:業務フロー・権限・ルールを設計する
ATS権限、候補者への返信ルール、エスカレーション先、個人情報の管理方法などを整えます。
STEP5:運用開始後も自動化・効率化を進める
外注した状態を完成形と考えず、定期的に業務量や工数を確認し、AI・ATS・システムで削減できる作業を見直します。
採用事務代行についてよくある質問(FAQ)
採用事務代行だけ利用して、採用戦略は自社で行えますか?
可能です。求人票更新、応募者対応、日程調整、ATS運用などの事務業務だけを切り出し、採用戦略や面接、採用判断は自社で担当できます。
採用事務代行を使えば応募数は増えますか?
採用事務代行を利用しただけで応募数が増えるとは限りません。返信速度の改善や求人票更新の徹底によって間接的に改善する可能性はありますが、応募数そのものを増やしたい場合は、媒体戦略、スカウト、エージェント運用、採用広報など別の施策が必要です。
AIを導入すれば採用事務代行は不要になりますか?
すべてが不要になるわけではありません。例外対応、候補者とのコミュニケーション、判断を伴う業務などは人が対応した方がよいケースがあります。AIと人の役割分担を設計することが重要です。
採用事務代行と派遣社員はどちらがよいですか?
業務量、期間、社内の管理体制によって異なります。短期間ですぐに業務を移管したい場合は代行会社、長期間の定型作業が大量にある場合は派遣社員の方が合理的なこともあります。費用だけではなく、教育・管理工数や業務改善まで含めて比較しましょう。
採用事務代行会社にAI化や内製化も相談できますか?
会社によって対応範囲が異なります。オペレーション代行だけを提供する会社もあれば、業務棚卸し、AI活用、ATS改善、マニュアル整備、内製化まで支援する会社もあります。将来的な体制まで考える場合は、相談時に対応範囲を確認しましょう。
まとめ
採用事務代行は、求人票更新、応募者対応、面接日程調整、ATS運用などの採用オペレーションを外部へ委託できるサービスです。採用担当者の工数を短期間で削減できるため、現在でも有効な選択肢です。
ただし、AIやATS、API連携などが進化した現在では、採用事務をすべて人手で外注し続けることが必ずしも合理的とは限りません。
採用事務を効率化する際は、採用事務代行、ATS、AI・自動化、派遣・アルバイトなどを横断して比較し、「どの業務を人が行い、どの業務を自動化するか」を設計することが重要です。
短期的には外部の力を借りながら、中長期的には業務の標準化・AI化・内製化を進めることで、採用担当者が本来注力すべき採用戦略や候補者コミュニケーションに時間を使える体制を目指しましょう。
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